研究概要 |
ヒトでのアクアポリン遺伝子のSNP解析をおこなった。健常人50人についてAQP3,AQP6,AQP10,AQP11,AQP12のアミノ酸をコードする部分のエキソンをPCRで増幅して直接シークエンスすることでSNPを検索した。 AQP3のSNPは5つでうちアミノ酸置換は2つあった(N>D,M>V)。 AQP6のSNPは3つですべてアミノ酸置換であった(S>A,I>S,I>V)。 AQP10はマウスで偽遺伝子になっているが、ヒトでは偽遺伝子はなかった。SNPは7つでうちアミノ酸置換は4つあった(R>Q,R>C,V>I,H>Y)。 AQP11のSNPは2つありアミノ酸置換は1つあった(G>S)。 AQP12のSNPは5つ、うちアミノ酸置換は3つあった(A>T,Q>E,M>T)。 AQP6,AQP10,AQP12ノックアウトマウスやAQP3欠損した人は外見上正常なので健常人とはいえ、おおきくアミノ酸が置換しているもののなかに機能不全の変異がある可能性がある。 AQP11はノックアウトマウスが致死的であり、今回SNPがあまりみられなかった理由かもしれない。SNPは一定の頻度でおきると考えられるのでかたよった分布は機能的な変化をともなうものが淘汰された可能性がある。アクアポリン遺伝子全体でみることが必要になる。NCBIのイントロンも含めたSNPデーターベースを検索してみるとAQP3(54),AQP6(25),AQP10(41),AQP11(70),AQP12(33)であった。AQP12はAQP12A,Bという類似した遺伝子が存在するためで、両者を区別するのはむつかしいので正確な数ではないと思われる。AQP11はSNPが多いのにアミノ酸置換SNPは少ないことがわかった。これらの実績の一部は第49回日本腎臓学会学術総会にて発表した。
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