研究課題
基盤研究(C)
GSK-3βとタウ蛋白発現や蓄積との関係を明らかにするため、GSK-3βTgおよびタウ(R406W)Tgマウス(Ikeda M. Am J Path. 2005)、(P301L)Tgマウス(Murakami T, Ikeda M. Am J Path. 2006)に交配させ、tau(+)/GSK-3β(+)、GSK-3β(+/+)について、免疫細胞化学的方法にて3カ月、6カ月、12カ月と経時的検討を行なった。GSK-3β抗体、MAP2抗体、SMI-31抗体、SMI-32抗体を用いた。GSK-3βTg大脳・entorhinal cortexにおける3、6、10カ月齢におけるanti-GSK-3β-C免疫染色では、加齢に伴い神経細胞質・神経突起および細胞間隙に顆粒状沈若として免疫陽性構造が確認された。10カ月齢における脳内各部位でのanti-GSK-3β-Cの免疫染色では大脳皮質、扁桃体、脳幹・橋において神経細胞体および神経突起に染色を認めた。SMI-31による10カ月齢正常対照マウスの免疫染色では、entorhinal cortexの神経細胞体および神経突起に染色を認めた。GSK-3βTgでは神経細胞体に染色を認めるものの、神経突起の染色性は低下していたまた、SMI-32の免疫染色でGSK-3βTgの神経細胞の突起の幅は、正常対照マウスに比べ減少していた。抗MAP2抗体による免疫染色では、GSK-3βTgでは神経突起の染色性は低下していた。1)GSK-3βTgにおいてGSK-3βは神経細胞の細胞体および神経突起に多く発現していた。2)MAP2、SMI-31、SMI-32による免疫染色では神経突起の染色が低下しており、GSK-3βの過剰発現によりMAP2およびリン酸化ニューロフィラメントの減少、神経突起の伸展障害が生じている可能性が示された。
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