配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 300千円)
2007年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2006年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2005年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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研究概要 |
ドパミン(DA)神経選択的障害因子としてのDAキノン(DAQ)のパーキンソン病(PD)病態形成における役割を明らかにし,キノン体の生成制御の治療応用の基礎資料を得るために,以下の研究を行った. 1.DAおよびDAQとの相互作用・結合分子の検討 PD病態関連分子を中心とした電子スピン共鳴法による検索で,メタロチオネイン1(MT1),数種のDAアゴニスト,ある中枢神経作用薬が,DAQと相互作用・結合し消去することを明らかにした. 2.培養神経細胞でのDA神経障害およびキノン毒性とキノン消去系賦活・抑制の効果 DA系神経細胞CATH. aでのDA過剰状態で生成されるDAQは細胞障害性にはたらくが,キノン還元・消去酵素,MT1誘導薬,あるいはアストログリアでのグルタチオン(GSH)合成基質の取り込みを促進する中枢神経作用薬により,DAQを消去することで細胞障害性を阻止できることを明らかにできた. 3.PDモデル動物でのキノン消去系の変化とその修飾の効果 PDモデルマウス線条体において,キノン還元・消去系因子の活性化を認めた.また,ある中枢神経作用薬の投与により,線条体のアストログリアは増殖し,GSH合成基質の取り込み部位が増加し,GSH量が増加した.さらにこの薬の投与により,黒質のDA神経の脱落およびL-DOPA連日投与による線条体キノン結合タンパクの著増が抑制された.また,PDモデルのDA神経障害は,MT1ノックアウトマウスで顕著であり,システイン基含有分子がDAQ障害性に対して保護的に働くことを明らかにした. これらの結果から,DA神経選択的障害因子としてのDAQの神経障害性を消去するという全く新しい観点からのPD治療方策の開発の基礎資料を得ることができ,特にGSH合成基質の取り込みの神経・アストログリア連関が,PDでのDA神経障害に対する防御方策を考える上で重要であることを明らかにできた.
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