研究課題
基盤研究(C)
カルシウム(Ca)、カルモデュリン(CaM)依存性プロテインキナーゼIIδ2(CaMキナーゼIIδ2)は膵β細胞の調節性インスリン分泌に重要な役割を担う。肥満やインスリン抵抗性状態による代償性インスリン分泌亢進はCa/CaM系の慢性的活性化をもたらすが、これが転写制御や細胞増殖を含めた膵β細胞機能に及ぼす影響は不明である。本研究は変異CaMキナーゼIIδ2発現系を構築し、培養膵β細胞株に導入することで、インスリン合成・分泌応答、細胞増殖とCaMキナーゼIIδ2の連関を解明することを目的とする。インスリン遺伝子の転写調節において、PKA及びCaMキナーゼIVによるCREBリン酸化は転写促進作用を持つことが報告されており、一方、CaMキナーゼIIによるCREBリン酸化は転写阻害作用を持つことが報告されている。我々はまずマウス脳より単離されたCaMキナーゼIIδ2cDNA(WT)を基にSite-directed mutagenesisの手法で以下の2つの変異CaMキナーゼIIδ2cDNAを作成した。(1)活性型変異体CaMキナーゼIIδ2-act(ACT)(2)非活性型変異体CaMキナーゼIIδ2-kd(KD)。次にインスリン遺伝子転写に対するCaMキナーゼIIの影響を検討するため、CaMキナーゼIIδ2cDNA-wt, act, kdをヒトインスリン(human insulin ; HI)プロモーター領域2235bpを導入したLuciferase発現ベクターpGL3-HIとともに脂質膜透過性担体によりMIN6細胞へ導入し、Luciferase assayにより転写活性を検討した。その結果、WT, ACTを強制発現すると転写活性が20%程度に減少し、KDを強制発現すると150%以上の転写活性に上昇することが示された。このことは、膵β細胞においてCaMキナーゼIIδ2がインスリン遺伝子の転写を負に調節していることを示している。今後、ウィルスによるの膵β細胞株への導入も含めて、さらに細胞機能解析を進行する予定である。
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