研究概要 |
1.核内受容体Nurrl結合蛋白のスクリーニング 1)副腎腺腫cDNAライブラリーの作成とyeast two-hybrid systemによるスクリーニング 原発性アルドステロン症(アルドステロン産生腺腫)組織より、mRNAを調製し、逆転写反応により得たcDNAの両端にEcoRI,XhoI linkerを添加したcdNA断片を、Gal4 activation domain cDNAとin-frameに連結したcDNA libraryを作成した。次に、本cDNAライブラリーを用いて、Gal4 DNA-binding domain-Nurrlをbaitとして用いたyeast two-hybrid screeningを行い、SUMO化修飾のE2およびE3酵素であるUbc9,PIASlを同定した。 2)Nurrlによるアルドステロン合成酵素CYP11B2プロモーター活性に及ぼす影響 CYP11B2遺伝子プロモーター領域に、核内受容体COUP-TFI,COUP-TFII,SF-1,Nurrl,NGFI-Bなどが結合することが報告されていることから、ヒト副腎H295R細胞を用いてこれらの核内受容体による転写活性を検討した。その結果、COUP-TFI,COUP-TFII,Nurrl,NGFI-Bは用量依存性にCYP11B2転写活性を上昇させたが、SF-1は反対に用量依存性にCYP11B2転写活性を抑制した。 3)CYP11B2遺伝子プロモーター領域のAd5配列、NBRE配列の重要性の検討 CYP11B2プロモーターを含むルシフェラーゼレポーター遺伝子(CYP11B2(-1521/+2)-Luc)とその中のAd5配列に変異を導入したCYP11B2-Ad5M-Luc,NBRE配列に変異を導入したCYP11B2-NBREM-Luc,両配列に変異を導入したCYP11B2-Ad5M/NBREM-Lucを用いて、これらのcis配列の重要性を検討した。その結果、Nurrlは、Ad5配列の変異によりほぼ転写活性を消失し、NBRE配列の変異により25%程度まで減少し、両cis配列の重要性が示された。 2.Ubc9,PIAS1によるNurrl依存性転写活性化への影響 CYP11B2プロモーター活性をNurrlは活性化し、外因性にUbc9またはPIAS1を共発現すると、さらに転写活性はさらに増強された。また、SUMO化酵素活性を消失させたUbc9(C93S),PIAS1(C351S)の共発現においても、ほぼ同様の転写活性化を認めたことから、SUMO化酵素活性とは独立してNurrlのコアクチベーターとしての機能が示唆された。
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