研究分担者 |
肥塚 直美 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (80147397)
福田 いずみ 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (80238477)
大久保 由美子 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (80287317)
村上 祐子 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (60318029)
佐田 晶 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (60360153)
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研究概要 |
1)GH/IGF-I系よる11β-hydroxysteroid dehydrogenase(HSD)の制御とその生理的意義の解明 3T3-L1マウス脂肪前駆細胞を脂肪細胞に分化させ分化誘導過程の各時期,分化後GHあるいはIGF-Iで種々の時間処理し11β-HSD1活性およびmRNAを測定した。11β-HSD1活性およびmRNAは,脂肪前駆細胞で極めて低く,脂肪細胞への分化が終了する誘導8日目で最高値となりその後再び減少した。分化誘導8日目の脂肪細胞をGH(100nM)およびIGF-I(0.1nM)で処理すると11β-HSD1活性およびmRNAは抑制された。これらの結果は,GH分泌不全症では脂肪組織での11β-HSD1活性の抑制が解除しコルチゾールが増加,これに応答した脂肪酸合成が上昇し,組織中の脂肪量が増加するという可能性を示した。 2)GH/IGF-I系のアディポサイトカインに及ぼす作用と代謝異常 成人GH分泌不全症(GHD)ではインスリン抵抗性をきたすが,体脂肪(特に内臓脂肪)の増加によるものと考えられている。脂肪細胞より分泌されるアディポネクチン(Ad)はインスリン感受性の規定因子として注目されている。血中Adは多量体として存在し,3量体や6量体の低分子量Adのみならず,12〜18量体の高分子量(HMW)Adとして存在する。最近,総(Total)AdよりもHMW Ad値の方が,インスリン感受性の良い指標となることが示唆されている。成人GHDにおける血中HMW Ad値を測定し,インスリン抵抗性との関連について検討した。HMW AdおよびTotal Adの平均はGHDでは5.4,8.8μg/mlであり,健常人(7.1,11.1μg,/ml)に比べて有意に低値を示した。GHD,健常人ともHMW AdはHOMA-R,BMIと有意な負の相関を認めた。血中HMW Ad値はGHDでは健常人より低く,HMW Adはインスリン抵抗性と負の相関を示した。これらの成績はGHDにおけるインスリン抵抗性にHMW Adが関与することが示唆された。さらに,GH治療中の血中Ad値を測定し体脂肪の変化との関連を検討した。成人GHDではGH治療により体脂肪の減少に伴い血中Ad値は増加を認めた。これらの成績はGH治療に伴うAdの増加が代謝改善に寄与する可能性が考えられた。
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