研究課題/領域番号 |
17590973
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
内分泌学
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター) |
研究代表者 |
田上 哲也 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター), 内分泌研究部・分子内分泌研究室, 室長 (60273439)
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研究分担者 |
森山 賢治 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター), 内分泌研究部, 研究員 (00301739)
成瀬 光栄 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター), 内分泌研究部, 部長 (40120018)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2006年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2005年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 甲状腺ホルモン / 核内受容体 / 甲状腺ホルモン受容体 / クローニング / 転写因子 |
研究概要 |
ヒト下垂体cDNAライブラリーをテンプレートにしたPCR法により、未知の塩基配列を含むクローンを得た。TRβのLBDをコードする第5エクソンと第6エクソンの間に137bpの挿入を認めた。この配列はヒトゲノム上第5イントロン内に見いだされ、両端にはコンセンサススプライス配列を確認した。RACE解析により、N末端(翻訳開始点)及び転写開始点ならびにC末端(転写停止点)を決定した。その結果、このアイソフォームの5'と3'はTRβ1と共通で、挿入部分中央にはストップコドンが存在し、TRβ1とN末端側を共通とするスプライスバリアントであることが判明した。これをTRβ4と命名した。TRβ4は、259個のアミノ酸からなる約30キロダルトンの蛋白で、最後の13アミノ酸をTRβ1と異にする。RT-PCRとノザン解析により、TRβ4mRNAは種々の臓器に発現していたが、特に骨格筋に豊富であった。TRβ4蛋白はT3と結合せず、T3による転写調節を媒介しなかった。また、DNA結合は認められたが、RXRやコリプレッサーとの結合は微少であった。しかし、TRβ4はTRα2同様に、機能的TRであるTRα1、TRβ1、TRβ2の転写調節能を阻害した。その程度は、RTHに見いだされる異常TRの強いドミナントネガティブ効果より軽度であった。 TRβ1-3と比較すると、TRβ4はTRβにおいて見いだされた最初のC末端側のバリアントである。TRβ4はT3と結合せず、T3受容体としては機能しない。しかし、T3応答配列に対するDNA結合能は有しており、TRα2と同様、機能的TRに対して軽い阻害作用を有する。阻害作用が小さいのは、コリプレッサーとの結合性が弱いためと思われる。組織分布はTRβ1と微妙に異なり、TRβ1とTRβ4は、スプライシング調節により、組織毎の発現のバランスが調整されていて、T3応答臓器とそうでないものが区別されていると想定される。TRβ4も、TRα2と合わせて、T3作用におけるモデュレーター(調節蛋白)として、あるいは、未知のリガンドの受容体として機能しているのかもしれず、さらなる解析が期待される。生体におけるTRβ4の機能の解明が今後の課題である。
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