研究課題
基盤研究(C)
肥満は、高血圧・心血管障害・糖尿病などの疾患を頻発させ、その治療と予防は医学的・社会的に大きな課題である。本研究では、摂食・エネルギー代謝調節に関連する生理活性ペプチドの同定とその機能解析を行うことを目的とした。申請者らは、2005年にオーファン受容体発現細胞系を用いたアッセイ系によるリガンドスクリーニングにより、ニューロメジンS(NMS)と命名した新規の生理活性ペプチドをラットの脳より単離した。本ペプチドは、その生理作用の一つとして、ラットの脳室内投与により、同族ペプチドであるニューロメジンU(NMU)よりも強力に摂食量を抑制し、この摂食抑制にはα-MSHおよびCRHが関与していることを明らかにした。さらに、両生類であるカエルからもNMSのcDNAおよびペプチドの単離・同定に成功し、NMSとNMU遺伝子は、両生類の段階で既に分離し、生理活性ペプチドとして機能していることを示した。また、摂食促進ペプチド:グレリンは、3番目のセリン残基の脂肪酸修飾により、グレリン受容体GHS-Rに対して活性型となるが、脂肪酸修飾がないグレリン(デスアシル・グレリン)のラットおよびマウスの脳室内投与でも、摂食促進作用が発現することを明らかにし、さらに、GHS-R遺伝子欠損マウスを用いた解析により、この作用はグレリン受容体と異なる受容体を介する作用であることを証明した。また、デスアシル・グレリンはラット胎児の脊髄細胞の増殖促進作用を有することも示した。新たな摂食調節関連ペプチドの探索を目的として、脳、消化管および脂肪組織に発現するオーファン受容体の安定発現細胞株を作製するとともに、オーファン受容体を用いた新規内因性リガンドの探索ための新たな方法として受容体インターナリゼーションを用いたアッセイ法の確立を進めた。
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すべて 雑誌論文 (34件)
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