研究課題/領域番号 |
17590981
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
血液内科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高橋 聡 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (60226834)
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研究分担者 |
加藤 和則 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (60233780)
渡辺 信和 東京大学, 医科学研究所, 特任助手 (10334278)
東條 有伸 東京大学, 医科学研究所, 教授 (00211681)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2006年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2005年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 臍帯血移植 / 免疫再構築 / エフェクター / メモリー細胞 / テトラマー / サイトメガロウイルス / CD40L / キラー細胞 / メモリー / ナイーブ / アデノウイルスベクター |
研究概要 |
これまで我々は膀帯血移植後患者の末梢血における細胞性免疫の回復についての動的解析を行い、移植後のエフェクター/メモリー機能の回復パターンは各移植後患者間で一様ではないが、多くの場合は移植後早期の段階で、ナイーブ型からセントラルメモリーTリンパ球に分化することを明らかにした。 サイトメガロウイルス(CMV)感染症は同種移植、特に臍帯血移植においては重要な合併症である。1998年から2006年まで東大医科研において施行された成人臍帯血移植111例の中で、完全に生着し、かつ移植後120日目まで再発を認めなかった患者は92名(83%)で、これらの中から移植後4ヶ月間でCMV感染症の発症は認めなかった。 上記の中で、2002年から2006年の間に臍帯血移植を受けた39名について、CMV再活性化および、CMV抗原に反応して産生するインターフェロンガンマ(IFN-γ)を細胞内染色とフローサイトメーターによって検出されたCMV反応性CD4陽性およびCMV反応性CD8陽性細胞の回復動態について検討をいった。39名中6名は、移植前のCMV血清学的解析で陰性であり、移植後もCMV再活性化は認めなかった。CMV抗体陽性33名の中で31名では移植後4ヶ月以内にCMV抗原血症の陽性化を認め、抗ウイルス療法を受けた。この31名中30名(94%)でCMV抗原反応性CD4陽性細胞が検出された(移植後1ヶ月目:57%;2ヶ月目:81%;3ヶ月目:79%;4ヶ月目:84%)。また、14名(42%)ではCMV抗原反応性CD8陽性細胞が検出された(移植後1ヶ月目:15%;2ヶ月目:19%;3ヶ月目:33%;4ヶ月目:32%)。これらは、CMVメモリー細胞がグラフト中に存在する骨髄・末梢血移植の場合とほぼ同等の免疫再構築であった(CMV抗原反応性CD4陽性細胞は18/21(86%)で検出、CMV抗原反応性CD8陽性細胞は12/21(57%)で検出)。 さらに、サイトメガロウイルス・テトラマー陽性細胞について免疫成熟度を解析すると、CBT移植後患者でも正常人と同様で、70-80%はエフェクター・メモリー表現型を示した。すなわち、移植後早期にCMVテトラマー陽性となった臍帯血由来のTリンパ球の解析結果で、CD45RA陽性、CD62L陰性、パーフォリン陽性でエフェクター細胞であることが確認できた。これらのサイトメガロウイルス抗原血症陽性患者は、いずれも免疫抑制剤の投与期間中であったにもかかわらず、GVHDを合併してサイトメガロウイルス脳炎を発症した1例をのぞいて、重篤なサイトメガロウイルス感染症に移行することはなかった。 我々は、さらにヒトCD40L遺伝子を組み込んだファイバー変換型アデノウイルスベクターを作成し、ヒトの各種抗原提示細胞への導入効率、および遺伝子導入細胞による抗原提示機能の上昇について検討を進めており、遺伝子導入樹状細胞およびCMV反応性CD4陽性T細胞を用いた抗CMVキラー細胞の誘導および増幅法の開発を進め、特異抗原に関する免疫賦活法の開発に取り組む予定である。
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