研究課題/領域番号 |
17590995
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
血液内科学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
酒井 英子 (小河 英子) 大阪大学, 生命機能研究科, 特任助手 (60359859)
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研究分担者 |
仲野 徹 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (00172370)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2006年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2005年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 造血 / 未分化性 / 転写因子 / runx1 / hoxb4 / OP9 |
研究概要 |
1.OP9ストローマ細胞を用いたES細胞からの血液分化誘導システム、および、テトラサイクリン制御下でコンディショナルにRunx1を発現するシステムを組み合わせ、造血におけるRunx1の機能を解析した。その結果、一過性にRunx1を発現することにより、発生直後の血液前駆細胞を増幅させる機能ならびに分化を促進する機能を併せ持つこと、二つの機能は分化の過程で驚くほど狭い時間幅で使い分けられていることが判明した。 2.Runx1およびHoxB4の活性が制御可能なシステムの構築を行った。Runx1をテトラサイクリン除去時に発現誘導ができるES細胞株を樹立し、HoxB4はレトロウイルスベクターを構築して任意の時期に感染させ発現させるシステム、並びに変異エストロゲン受容体との融合蛋白(HoxB4-ER)発現ベクターの構築によりHoxB4も活性のコントロールが可能なシステムを作成し、HoxB4による未分化維持機能とRunx1による二方向性機能の相互作用に関する検討を行った。In vitro血液分化系において初期造血期にHoxB4発現ウイルスを感染させすると共にrunx1の発現を一過性に誘導すると、HoxB4の未分化状態維持機能が増強されることを見いだした。ウイルス感染時期をずらせた検討ならびに、HoxB4-ER融合蛋白発現ウイルス感染後に活性誘導時期を変動させる実験の結果から、Runx1の作用によって増幅された未分化前駆細胞がHoxB4により未分化状態を維持されることにより増強作用がもたらされる事が判明した。また、HoxB4の作用により産生された長期に渡って維持される未分化前駆細胞においてRunx1の発現を誘導すると、未分化状態を保つことができず分化がスタートすることが明らかとなった。以上のようにRunx1による分化促進作用はHoxB4の作用を超越して機能することから、制御可能な造血システムの構築においてはRunx1の発現がキーとなることが予測できる知見が得られた。 3.Runx1の作用の分子基盤を解明するために、in vitro血液細胞分化誘導系の初期においてRunx1を発現させた場合の遺伝子発現変化をDNAマイクロアレイにより解析した結果、内皮細胞特異的遺伝子群が著しく抑制されることが判明した。また、未成熟前駆細胞の増殖促進に作用するサイトカインFlt3 ligandの発現亢進が観察された。Flt3 ligandは実際に初期造血の場である胎児AGM aorta内壁において発現しており、Runx1 nullマウスでは正常な発現パターンが維持されないことが判明した。これらの知見から、初期造血においてRunx1が、内皮細胞様細胞から血液細胞が出現する際の遺伝子調節を行なうことにより血液発生に寄与することが示唆されると共に、発生後の増殖を支持するメカニズムの一端が明らかとなった。 1.および3.の成果については、投稿中、2.の成果については投稿準備中である。
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