研究課題
基盤研究(C)
脂肪細胞は血友病などの遺伝子治療に際して導入遺伝子産物を供給するのに適しているものと考えられ、遺伝子導入の標的組織として有望であるものの動物個体レベルでの有効な方法は知られていなかった。本研究を通じて脂肪細胞を標的とした遺伝子治療法につき探索を行った結果、様々な新知見を得ることができた。第一に、注入する1型AAVベクター溶液にプルロニックF88を2%加えることでdb/dbマウス脂肪組織への遺伝子導入効率が格段に向上することが判明した。また、エリスロポエチン遺伝子を搭載したベクターを用いた検討の結果、マウス血中のエリスロポエチン濃度が著明に上昇し、マウスは多血症を来すこと、遺伝子導入を行った脂肪組織は手術によって摘除可能であり、摘除術後に血中エリスロポエチン濃度は正常化すること、などが明らかとなった。また、1型のベクターを用いた場合には導入遺伝子の発現は脂肪組織に限局していたが、8型のベクターを同様に脂肪組織内に注入した場合には、肝臓に対する遺伝子導入が効率よく起きていることを見出した。更には8型のベクターを骨格筋内に投与した場合にも同様に肝臓における導入遺伝子の発現が強く認められる事などを見出し、8型のベクターの性質を明らかにする上でも大きく貢献した。これらの知見を血友病遺伝子治療に役立てるべく、凝固第IX因子遺伝子を搭載したベクターを用いてdb/dbマウス脂肪組織への遺伝子導入を行った。その結果、凝固第IX因子の血中濃度は検出可能であったものの、治療域には至らず、骨格筋ないしは肝臓を標的とする方法には及ぼないものと考えられた。この理由は今のところ明らかでなく、今後引き続き解析が必要である。本研究課題では主に血友病に対する応用を念頭に置いて研究を進めてきたが、同じ方法は他の蛋白質補充療法や代謝疾患などにも応用可能と考えられることから、今後一層の研究の進展が望まれる。
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