研究課題
基盤研究(C)
先天性好中球減少症と診断されたG-CSF受容体切断型遺伝子異常解析は、期間中18例について行った。引き続き症例のリクルートを進めている。症例の一部では、骨髄異形成症候群/急性骨髄性白血病(MDS/AML)発症前に造血細胞移植を行われており、自然経過で白血病化に至った症例は未だ無い。また期間中、新たなG-CSF受容体遺伝子異常は出現していない。受容体刺激伝達系に密接な関連があるSHP2、Gab1、Gab2、Grb2、SOCS3、STAT3、STAT5、NRAS、KRAS2のmRNAの遺伝子配列決定は、解析しうる症例について解析を始めているものの少ない検体から、多くのPCR行う為に有効な条件を決める事、そのための十分量mRNAを分離するのが困難で、解析はなかなか進んでいない。これまでの検討から、受容体切断型異常だけでは白血病化は困難であると考えられ、先天性好中球減少症の一つであり、またMDS/AMLの発症が起こりやすいShwachman-Diamond症候群(SDS)において、成因遺伝子として報告されたSBDS遺伝子の異常について自験例を含む10例の解析を行い、全く同一のSBDS遺伝子異常を持つ患者さんにおいても、臨床的なSDSとしての表現型が様々であることを、明らかにした(雑誌論文1)。こうした異常が、好中球G-CSF刺激伝達系の分子における遺伝子異常を含めて、その白血病化にどう関連するかは今後の研究課題である。
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