研究課題
基盤研究(C)
小児遷延性感染症を引き起こす病原菌の中で、下痢原性大腸菌である腸管凝集性大腸菌、中耳炎や下気道感染症のおもな原因であるインフルエンザ菌、病院感染症の原因となるMRSAに着目してバイオフィルム形成能と関連遺伝子を検討した。腸管凝集性大腸菌(EAEC)では、凝集抑制蛋自Aapの外膜排出蛋白AatAの構造・機能解析を行い、C末端の3非極性アミノ酸残基が機能発現に重要であることを明らかにした。またAatAのホモログである大腸菌異物排出ポンプTolCが、EAECの凝集・付着に関与していることを示し、病原性発現におけるTolCの新たな役割を明らかにした。さらに、病原プラスミドpAA2上のshf遺伝子が、強固なバイオフィルム形成に必要であることも明らかにした。nontypable H.inflyenzae(NTHi)臨床分離株の解析では、接着因子hifAとhia陽性株にはバイオフィルム形成株が多く、hifとhiaがバイオフィルム形成能と関連していることを明らかにした。また、反復性下気道感染症患者からの分離株は、急性患者からの分離株に比べてバイオフィルム形成株が強く、下気道感染症の遷延にバイオフィルムの関与が示唆された。MRSAの臨床分離株のバイオフィルム形成能は、感染症群が保菌群に比べて有意に高く、バイオフィルム形成能の強いMRSA株が院内感染の発症に関連していることが示唆された。バイオフィルム関連遺伝子の一つであるaccessory gene regulator(agr)型の検討では、2および3型が1型に比べてバイオフィルム形成能が強く、また2型の出現頻度は感染症群で有意に高く、agr型がバイオフィルム形成能に関連していると考えられた。本研究における病原機序の解明は、小児遷延性感染症の新たな治療法の開発に結びつく可能性を示した点で意義があったと考える。
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