研究課題
基盤研究(C)
ADAM (adisintegrin and metalloprotease)ファミリーはメタロプロテアーゼドメイン、ディスインテグリンドメインをもつ膜貫通型糖タンパク質で、様々な膜係留型タンパク、成長因子、細胞内シグナル分子、接着因子の細胞外ドメインシェディング(切断)をすると考えられている。受精、神経発生、血管新生、心発生そしてガンを含む様々な生物学的過程で重要な役割を担っている。ADAMファミリーの1つであるメルトリンβ/ADAM19を欠損するマウスでは心室中隔欠損と弁形成の異常を示す。心内膜細胞ではなく神経堤細胞で発現するメルトリンβは心室中隔と弁形成に重要であることがわかった。メルトリンβを欠損した神経堤細胞は正常に移動するが、心流出路の近位の左右クッション組織の癒合ができず、流出路と房室クッション組織の集合による心室中隔膜様部欠損を生じた。メルトリンβ欠損マウス心臓ではさらに冠状動脈の瘤、蛇行、異常起始がみられ、心室中隔内に大きく流れ込んだ後心室内に直接開口するcoronary arteriovenous fistulaを形成していた。心室中隔内ではあたかももう一つの心室を形成するかのように大きなマスが形成されていた。この中隔枝の血流は収縮期に逆流波形を示すことが心エコーによってとらえることができた。
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