研究課題
基盤研究(C)
5.総括と展望本邦での新生児血栓症の全国調査から、その発症頻度は欧米での1/10であった。本調査が後方視的研究であり、診断法が充分に確立しておらず、人種差によるか、あるいは診断にいたっていないのか明らかでない。しかし、病院と考えられる疾患や病態、発症部位は欧米での報告と大差がなかった。治療法は、多くの症例で保存的治療が選択されていたが、成人と同様に一部でu-PAやt-PAなど血栓溶解薬が使用されていた。投与量や投与時期などは今後の課題である。また、遺伝的素因を有するものは、本邦でも少なかったが、われわれの成績では血栓症発症時期にプロテインC活性やなんらかの抗血栓因子の血中濃度が、同年齢の対照児と比較しても著しく低下していた。これらの因子は、その後成長に伴い改善していた。したがって、遺伝子異常によることも考えられるが、抗血栓因子の産生低下がリスク因子になっている可能性が示唆された。これまで、新生児の凝固・線溶因子の動態について詳細に見当されてきた。しかし、新たに血小板を含めた全血での評価の重要性が明らかとなった。特に血小板の役割を考慮する必要がある。その場合、トロンビンやADPなどの血小板凝集惹起物質が凝固亢進をさらに増強することが示唆された。したがって、止血・血栓を考える上で、これら血小板惹起物質の制御も重要である。また、血友病治療薬として開発されたVIIaの研究から、VIIa止血系は生理的に重要な止血機構である。また、血小板数が数万あれば止血が得られる。また、発達を含めた生理的な制御機構についての解明が必要である。TAFIに関して免疫定量法が確立し,新生児での種々の病態でTAFI測定に着手できた。今後さらに臨床例の経験も含め、その生理的意義や病態への関与を明らかにする。最後に、新生児血栓症のリスク因子を明らかにし、統一的な診断法を確立し、実態把握を前方視的に研究する予定でいる。
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