研究分担者 |
千田 勝一 岩手医科大学, 医学部, 教授 (30108930)
戸津 五月 岩手医科大学, 医学部, 助手 (10382623)
内田 俊彦 岩手医科大学, 医学部, 助手 (60438463)
嶋田 泉司 岩手医科大学, 医学部, 助教授 (30091804)
佐々木 美香 岩手医科大学, 医学部, 講師 (20306012)
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研究概要 |
呼吸窮迫症候群(RDS)は早産児の未熟肺に起因する肺サーファクタント不足が原因で,無治療では死亡率の高い疾患である.1980年、藤原らの開発した人工肺サーファクタント(Surfactenとして実用化)がRDSに画期的な効果を示すと,世界で種々の肺サーファクタント製剤が開発され,RDSによる死亡は激減した.これらの製剤は一般に同等の活性を有する天然由来製剤と考えられているが、我々は製法に従って調整した肺サーファクタントには明らかな質的差が存在し、Surfactenの活性が最も優れていることを報告してきた。しかし、これらの製剤について直接比較した報告はない。 本研究では世界で使用されている5種類の天然由来肺サーファクタント製剤を用いて、in vitro表面活性とin vivo生理活性を比較し、電子顕微鏡形態を観察することを目的とした。 【材料と方法】各種製剤は,Surfacten(日本),Survanta(米国),Infasurf(米国),Alveofact(ドイツ),Curosurf(イタリア)の5種類である,in vitro表面活性は,ウイルヘルミー型表面張力計を用いて,表面吸着の測定,表面拡散の測定,動的表面張力-面積曲線の記録を行った.in vivo生理活性には未熟ウサギ胎仔を用い,各種サーファクタントの気管内注入後の肺胸郭圧量曲線の測定し,その肺標本を作製して光学顕微鏡で観察した.肺サーファクタント製剤を,タンニン酸とオスミウムで固定しエポン包埋後に電子顕微鏡で観察した. 【結果】in vitro表面活性ではすべての 各製剤間には明確な質的差があり、我が国で使用されているSurfactenの活性が最も優れていることが明らかになった。これらの形態観察から、良好な肺サーファクタントの活性にとってSurfactenのような一定の方向性をもった層板膜状構造が有利と考えられた。各製剤の活性や形態の違いは、原材料と精製法やそれに基づく成分、さらには剤形やautoclave使用などが影響しているのではないかと推測された。
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