研究概要 |
Interferon regulatory factor-2(IRF2)遺伝子は尋常性乾癬の候補遺伝子である。DNAのメチル化はDNAの塩基配列の変化を伴わずに遺伝子発現の制御を行う機構であり、加齢に伴い、CpGアイランドはメチル化される傾向にあることが報告されている。高齢の尋常性乾癬患者10人(平均発症年齢49.8歳、採血時の平均年齢72.4歳)の末梢血白血球より文書による同意を得てゲノムDNAを抽出した。ゲノムDNA1μgをBisulfite処理した。このDNAをtemplateにIRF2promoter領域の-22ntから-336ntと-261ntから-508ntについてPCRを行った。それぞれのPCR産物をTA-cloningし、ダイレクトシークエンス法にてIRF2promoter領域の配列を解析し、メチル化の有無を検索した。IRF2promoterの-22ntから-336ntについては計145個のコロニーをダイレクトシークエンスし、-78,-122,-126,-153,-157,-232,-240,-290に1個づつ(0.68%)メチル化が認められた。-261ntから-508ntについては計157個のコロニーをダイレクトシークエンスし、-306,-365,-369,-377,-430,-456に1個づつ(0.63%)メチル化が認められた。高齢の尋常性乾癬患者の末梢血白血球のIRF2promoter領域は低メチル化の状態であることが分かった。以上より、乾癬の発症にIRF2遺伝子プロモーターのメチル化が関与している可能性は低いものと考えられた。
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