配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 240千円)
2007年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2006年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2005年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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研究概要 |
本研究は養育環境の変化によって制御される、成長後のストレス反応性の分子機序を解明する目的で行われた。 1.単回拘束ストレスによるラット海馬のBDNF,GDNF mRNA発現をreal-time PCR法で、BDNF遺伝子プロモーターのヒストン・アセチル化をクロマチン免疫沈降法で解析した。その結果、BDNF mRNAの発現減少とexon1,exon3のプロモーターのH3アセチル化の減少が得られた。 2.母子分離(NI)の成熟期拘束ストレスによる、ラット海馬BDNF,GDNF,NGF,NT-3発現の変動への影響を解析した。その結果、NIによって拘束ストレスによるNGF発現の亢進が抑制されると同時にGDNF発現の減少することが分かった。 3.NIによる成熟期拘束ストレスによる海馬遺伝子発現プロフィールをアレイ・real-time PCR法・イムノブロット法を用いて検索した結果、insulin-ilke growth factor-1Rの発現減少が得られた。 4.NIによるうつ病発症感受性の亢進の機序を解明する目的で、NIを受け学習性無力(LH)となったラットと正常飼育でLHにならなかったラットの海馬での遺伝子発現を同様の方法にて解析した。その結果、前者にてLIMK-1発現が有意に減少していた。NIを受けたラットを豊かな環境で養育したところ、LH試験でLHの出現率はNI群と比べ有意に減少して正常飼育群と同じレベルであった。 5.このような研究結果は、養育環境が神経栄養因子群や成長因子群の発現を変動させて、ストレス反応性形成に密接に関与している可能性を提唱していると思われる。
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