研究概要 |
無機ヨー素(I-127)の成人1日必要量は150μgであるのに対して,日本人の平均摂取量は,欧米人よりも極端に多く750〜1,000μg程度である.放射性ヨード(I-131)による甲状腺癌のターゲティング療法は,転移・再発例の唯一の効果ある治療法である.この療法を行う場合には,治療効果を可及的に高めるための前処置として,厳重なヨード摂取制限を2週間以上行う.何故なら,3,700MBq(100mCi)の治療用放射性ヨード(I-131)に含まれるヨードの重量は,わずか10μgに過ぎないためである.症例毎にライフスタイルやヨード含有食品(海藻類)の摂取習慣および体内のヨードプールが異なり,画一的なヨード摂取制限プロトコールには限界がある.さらに,近年,思いもよらぬさまざまな食品・飲料(鱈,アサヒ十六茶やアクエリアス)にヨードが含まれることが判明してきたため,ヨード摂取制限をなお一層困難にしている. 今年度は,無機ヨー素の定量法法を検討し,種々の食品でのヨー素含量を実測した.実測の検出限界は,0.05mg/100gであった. アジ0.01-0.03mg/100g,サバ0.01-0.02mg/100g,サンマ0.01g/100g,タイ0.02-0.03mg/100g,カレイ0.01-0.02mg/100g,ヒラメ0.01-0.02mg/100g,マグロ0.01-0.02mg/100g,サワラ0.02mg/100g,サケ0.01-0.02mg/100g,アサリ0.01mg/100g,ハマグリ0.02mg/100g,シジミ0.01mg/100g,甘エビ0.01-0.02mg/100g,十六茶0.02mg/100g,アクエリアス0.01mg/100gポカリスエット0.01mg/100g 海産物に関してはヨー素含量が比較的少なく,また含有物として昆布エキスを含む飲料もヨー素含量は1日必要量は150μgに対して,十分許容範囲内であった.
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