研究課題/領域番号 |
17591260
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
放射線科学
|
研究機関 | 独立行政法人放射線医学総合研究所 (2006-2007) 福井大学 (2005) |
研究代表者 |
古川 高子 独立行政法人放射線医学総合研究所, 分子イメージング研究センター, チームリーダー (00221557)
|
研究分担者 |
藤林 康久 福井大学, 高エネルギー医学研究センター, センター長 (50165411)
内木 宏延 (内木 広延) 福井大学, 医学部, 教授 (10227704)
藤枝 重治 福井大学, 医学部, 教授 (30238539)
|
研究期間 (年度) |
2005 – 2007
|
研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
|
配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 300千円)
2007年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2006年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2005年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
|
キーワード | がん / 細胞・組織 / 低酸素 / PET / 酢酸 / 癌 / 腫瘍 |
研究概要 |
低酸素組織に集積するCu-ATSMを用い、Cu-ATSMが腫瘍内で集積する部位の性質について、由来の異なるマウス腫瘍細胞の皮下移植モデルで検討したところ、腫瘍内のCu-ATSM高集積部位は血管が乏しく、Ki67を発現する増殖期の細胞もほとんど見られないことが分かった。さらに、細胞死の形態においても、necrosisではなくapoptosisがみられ、低酸素のマーカーであるpimonidazolは集積しなかった。一方腫瘍診断薬として広く用いられるFDGの高集積部位にはnecrosisが見られ,pimonidazolの集積も認められた。この結果FDGの高集積部位は、血管周辺の増殖する細胞、血管から100-200m離れた低酸素に陥っている細胞,necrossiを起こしている細胞が混在する領域であることがわかった。血管の存在や増殖が盛んなことから、FDGの高集積部位は薬剤、放射線などによる治療が有効であると考えられる。これに対しCu-ATSMの高集積部位は治療に抵抗性が高いと予測される。さらにCu-ATSMの集積の程度とその部位の細胞の増殖能についてcolony formation assayを用いて検討したところ、Cu-ATSMの高集積部位は他の部位に比べて同等以上の贈殖能を有することが明らかとなり、Cu-ATSMの高集積部位は現在休止期にあっても将来増殖する可能性をもち、治療対象としての重要性が示された。また、Cu-ATSM高集積部位にみられるような特異な性質を持つ細胞群が、腫瘍結節内に数mm以上の広がりを持って存在することはこれまで認識されておらず、固形腫瘍の性質を理解していくうえで重要な知見と考えられる。 また、医療用小型サイクロトロンによるCu-64の製造、Cu-ATSMの調整に関しては、当初マニュアルによる遠隔操作で行なっていたが、これまでにボンバーメント後のターゲットからのCu-64の精製からCu-64のグリシン溶液の調製にいたる工程を自動化し、安全かつ安定な供給体制を整備することができた。 さらに、腫瘍特異的なエネルギー代謝についての検討から、腫瘍細胞では正常細胞に比べて酢酸の代謝が亢進していた。この酢酸代謝はAcss2によって行われ、低酸素条件下では酢酸の産生、取り込みともにさらに亢進した。このことはC-11酢酸のPETが腫瘍細胞の低酸素下でおこなう特異な代謝を画像化している可能性を示している。
|