研究概要 |
マルチスライスCTを用いたCT冠動脈造影法は、CTシステム、再構成法、ワークステーションの改良に伴って、臨床現場で実用されるまでに至った。特に2004年からリリースされた64列マルチスライスCTは冠動脈の鮮明なイメージングが5〜10秒で可能であり、冠動脈の評価可能率も90%以上となり、安定して鮮明な画像が得られるようになったことから、急速に普及されてきている。64列CTを用いた冠動脈CTアンギオグラフィは臨床の現場で日常検査として応用されてきている。 CT冠動脈造影法と同じデータを用いて、即ち新たなデータ収集[被爆]を必要とせずに、局所心機能情報を解析でき、その結果を3次元カラーマップで左心室表面に貼り付け、CTで作成した冠動脈を融合すると、冠動脈と心機能の情報が分かり易く表現される。例えば狭心症や心筋梗塞症例などの責任冠動脈と心機能(血流)の異常部位・範囲との関係が一目瞭然となり、治療戦略を立てる上で非常に有用となるはずである。我々は、造影CTのデータを用いて、試験的に2つのワークステーションで、表示方向を視覚的に手動で合わせて、心機能カラーマップと冠動脈ツリーを別々に作製し、それをまた別のパーソナルコンピュータの画像処理ソフト(PhotoShop)で画像の融合を行った。融合画像では病変の範囲とその責任感動脈の関係が分かり易く表現された。(Image fusion of coronary tree and regional cardiac function image using multislice computed tomography. Higashino H, Mochizuki T, Haraikawa T, Kurata A, Kido T, Nakata S, Sugawara Y, Miyagawa M, Miki H, Koyama Y, Okayama H, Higaki J. Circ J.2006 Jan;70(1):105-109.) これらの一連の行程を1つのワークステーションで、しかもマニュアル操作の部分の少ないソフトウェアとして作製できれば、臨床現場で利用されることが期待される。そこで我々は、CTを用いて冠動脈と心機能の同時評価を行い、融合イメージ作成ソフトウェアの開発を行った。ソフトウェア作製会社(AZE株式会社)と開発を行った。一連の流れとしてAZF社製ワークステーション"Virtual Place"で"冠動脈と心機能の融合画像"を作成できるようにした。
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