研究課題/領域番号 |
17591282
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
放射線科学
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
島崎 達也 熊本大学, 生命資源研究・支援センター, 助手 (60264248)
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研究分担者 |
荒木 正健 生命資源研究, 支援センター, 助教授 (80271609)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2006年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2005年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 癌温熱療法 / 温熱感受性 / 温熱耐性 / Scid細胞 / Scidハイブリッド細胞 / ビタミンK2 / マイクロアレイ法 / 培養細胞 |
研究概要 |
癌温熱療法において、よく治る癌と治らない癌が存在する。この違いは、癌細胞自身の温熱感受性の違いと温熱耐性の獲得にあると考えられているが、決定的な因子は未だ明らかにされていない。cDNAマイクロアレイ法やこれまでに確認されている誘導遺伝子を基に、温熱感受性、温熱耐性のメカニズムを解析する。 遺伝子バックグラウンドがDNA二重鎖切断修復能のみ異なるScidマウス由来の肺繊維芽細胞を用いて、DNA二重鎖切断と温熱感受性、温熱耐性の関係を求めた。Scid細胞は放射線高感受性であり、ヒト8番染色体を導入したHybrid Scid細胞は正常な感受性まで回復している。温熱耐性を抑制すると報告されている薬剤(Vitamin K_2)の効果を検討した。Scid細胞の温熱感受性は、HybridScid細胞やコントロールのBalb/c 3T3細胞と比較し、高感受性を示した。Scid細胞を温熱処理した後、細胞核内のγ-H2AXフォーカスを観測した。温熱処理後30分で最大となり、その後徐々に減少した。γ-H2AXフォーカスは温熱処理時間と共に増加した。Scid細胞のγ-H2AXフォーカス数をHybrid Scid細胞やBalb/c 3T3細胞と比較すると明らかに違いがあった。細胞核内のγ-H2AXフォーカスの増加と温熱感受性には相関関係が見られた。このことはScid細胞で最も多くのDNA二重鎖切断を確認したことになる。温熱耐性の誘導はTTR(温熱耐性比、Thermo-tolerance ratio)で求めた。Scid細胞の温熱耐性誘導は、Hybrid Scid細胞やBalb/c 3T3細胞と比較し、有意な差ではないが温熱耐性誘導が小さい傾向にあった。細胞核内のγ-H2AXフォーカスは、温熱感受性と同じ傾向が見られた。温熱耐性と関連のある熱ショック蛋白質72の発現は、温熱処理後6時間が最大となり、その後徐々に減少した。細胞内に誘導された蛋白量には大きな違いはなかった。薬剤(Vitamin K_2)の癌細胞(A549細胞、HeLa細胞)に対する効果は、温熱感受性を高め、熱ショック蛋白質72の発現を抑制した。 以上のことより、温熱感受性、温熱耐性とDNA二重鎖切断修復との関連が強く示唆される結果を得た。
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