研究概要 |
予備研究として健常者20名に対し肺血流測定を行い設定するスライスによる精度や再現性の違いについて評価した.肺動脈の走行に直交する断面を決定する方法を考案し,直交断を使用して血流量を測定した方がより精度,再現性が高いことを報告した。 基礎研究で得られた研究をもとに、肺動脈血流やその他のデータが肺高血圧の評価に有用であるか検討した.対象は肺線維症の患者(肺動脈圧が上昇していると考えられる)10名と健常者10名.測定した流速からacceleration time (AT), acceleration volumes (AV), ratios M to AV (M: maximal change in flow rate during ejection), distensibility(Dis), average flow(Aveflo)などいくつかの肺高血圧の指標を算出し,健常者と肺線維症の患者で比較した.患者には呼吸機能検査と施行し指標との相関についても検討した.評価したほぼすべての指標で両者に明らかな有意差が認められた.ROC curveを使用した解析でこれらの指標には高い識別能があることも判明した.これら結果は肺動脈圧の上昇を評価する有用な手法であることを示すものである.呼吸機能検査と比較したところ、Dis, Aveflo等,一部の指標おいては肺線維症の重篤度と良好な相関があることを示した.この結果はこれらの指標が肺動脈圧より肺動脈末梢の変化をよりよく反映していることを示唆するものである.
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