研究概要 |
シェーグレン症候群(SS)が疑われる患者54名に対して,SPLICE法による拡散強調画像と酒石酸負荷によるダイナミックMRシアログラフィーを施行した。使用したMRIは臨床用1.5テスラ装置であり,SN比向上のため直径約4cmの小径コイルを用いた。拡散強調画像のパルスシークエンスはTR=5.9msec,TE=65msec,スライス厚=6mm,b値=205.38及び1496.43sec/mm2とし,得られた画像より耳下腺のADC値を算出した。一方,ダイナミックMRシアログラフィーのパルスシークエンスはsingle-shot RARE法にて,echo space=11.5msec, TR=1100msec,スライス厚=30mmとした。ダイナミックMRシアログラフィーは,酒石酸2mL投与直後より5分間連続でデータを収集し,耳下腺管とその分枝の経時的変化を観察した。MRI施行後,全例に口唇腺生検及びサクソン・テストを行い,得られた結果からADC値,ダイナミックMRシアログラフィー所見と口唇腺生検による病理組織所見(フォーカス・スコア),Saxon test所見との比較検討を行った。その結果,ADC値は健常人とSS症例との間では有意差は認めなかったが,健常人と早期SS症例(フォーカス・スコア2未満)との間では明らかな有意差が認められた。一方,ダイナミックMRシアログラフィー所見とフォーカス・スコア,Saxon test所見との間には有意な相関関係が認められた。更に,早期SS症例では全例ダイナミックMRシアログラフィー一上,異常所見が認められた。今回の検討の結果,SPLICE法による拡散強調画像及び酒石酸負荷によるダイナミックMRシアログラフィーがシェーグレン症候群の早期診断法として極めて有用であることが示された。
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