研究概要 |
アルブミン産生能力を先天的に欠損している無アルブミンラット(F344alb)を用い、F344albに同系アルブミン産生ラット(F344)骨髄由来細胞を移植する実験モデルを開発し、F344alb宿主肝臓内にてF344骨髄由来細胞から肝細胞への分化・誘導することを報告してきた。(J.Arikura, M.Inagaki, et al. Journal of Hepatology 41:215-221,2004.X.Huiling, M.Inagaki, et al. Journal of Surgical Research 122(1):75-82,2004)今回この移植モデルを用いて、以下の実験結果を得た。 1)骨髄由来(幹)細胞を凍結保存し、解凍後宿主門脈内に移植すると骨髄由来(幹)細胞移植時と同様に宿主肝臓内でアルブミン陽性クラスターを形成することを確認した(M.Inagaki, et al. Surgery Today 35:955-60,2005)。 2)Liver nonparenchymal cells(LNPCs)を細胞供給源に用いた全身放射照射によるF344alb骨髄置換後のLNPCs移植モデルを新たに作製し、LNPCs中に骨髄幹細胞同様の細胞が存在し骨髄を再構築できること、および骨髄細胞移植と同様にLNPCs移植後のF344alb宿主肝臓内にもアルブミン産生クラスターが存在し、この生クラスターがdonar由来であることを確認した(Y.Xia, B.Zhang, M.Inagaki et al. European Surgical Research 38:533-9,2006)。 一方、肝線維化・発癌のためこれまで報告されている化学薬品と投与するとF344alb肝臓内にアルブミン陽性細胞が散在性に出現してしまうため、アルブミン産生を指標とした評価が困難であった。今後、評価可能な肝線維化・発癌のプロトコールの作製が必要である。
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