研究課題
基盤研究(C)
生体肝移植は、腸管及び肝臓の非常に高度かつ複雑な手術手技を必要とするため、周術期感染症発症率が高い。そこで我々は、他の手術手技で感染予防効果が報告されている、免疫亢進栄養剤とsynbioticsの周術期投与による感染予防効果を評価することとした。同時に、01〜02年実施のSSIサーベイランスデータに基づき、周術期抗菌薬を標準的な薬剤であるCTXとABPCの併用に変更し、さらに感染症専門医による診療サポートの効果を術後血流感染で評価した。更に、移植患者の予後に大きな影響を与える日和見感染症であるアスペルギルス症(Aspergillosis)とサイトメガロウイルス(CMV)感染症についてリスク因子の検討を行った。免疫亢進栄養剤とsynbioticsの周術期投与については、protocol通りの薬剤投与が困難なことが多く、感染予防効果の評価に足る症例数がentryできなかった。顕著な副作用は見られず感染予防に十分期待が持てることより、protocolを修正し追加研究を予定している。移植術後1ヶ月間の血流感染については、2003年〜06年の移植100例あたりの発生率は、00〜02年と比較して26.3から18.4に有意に減少した。さらに耐性菌の感染者数が著減していた。(京都肝移植周術期研究会発表、2008)。またAspergillosisのリスク因子としては、術前の集中治療室管理とステロイド投与が有意な因子となり、原疾患として劇症肝炎を対象とした肝移植がハイリスクと考えられた(Liver Transp1,2007)。CMVに関しては、劇症肝炎を対象とした肝移植およびABO不適合移植が多変量解析で有意な因子となった(Transpl International,2007)。以上より、本研究により、肝移植による標準的な抗菌薬投与および感染症専門医による診療サポートが周術期における重症感染症や耐性菌感染症の減少に有用であることを証明し、さらには重篤な移植後の日和見感染症であるAspergillosisおよびCMV感染症のリスク因子を特定し、因子を有する患者へのより積極的な感染予防の必要性を示すことができた。
すべて 2008 2007 2006 2005
すべて 雑誌論文 (14件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (8件) 図書 (2件)
Eur J Clin Microbiol Infect Dis 27
ページ: 209-216
Bunkodo, Tokyo, Japan
Liver Transplantation 13
ページ: 561-570
Transplant International 20
ページ: 419-424
Transpl Int 20
ページ: 419-24
Liver Transpl 13
ページ: 566-70
ページ: 566-570
J Infect 53
Infect Control Hosp Epidemiol 27
ページ: 964-968
J Infect Chemother 12
ページ: 9-21
10020556333
J Infect Chemother 11
ページ: 204-206
ページ: 220-225
10016776243
J Antimicrob Chemother 56
ページ: 643-647