研究概要 |
緑茶カテキン錠の服用コンプライアンスは良好であった.緑茶カテキン投与群では非投与群に比較して食道内異時多発癌の頻度は低い傾向を認めたが,ヨード不染粘膜の退縮・消失など,前癌病変や癌への直接的な影響を示唆する変化は見られず,同時期の非投与対照例との比較では,二次癌出現に関する有意差を認めなかった.また,投与開始直後での二次癌出現や,緑茶カテキン投与終了直後の二次癌出現なども見られており,さらに厳密な解析が必要と考えられる.さらに,食道内に多発ヨード不染粘膜を有す食道表在癌患者は,もともと高齢(60-80歳代)者が多く,ほとんどの例が多量の飲酒歴を有しているなど,他疾患に関わるリスクも高い.そのため,食道癌/頭頸部癌のみならず,他臓器での身体的イベントも多くみられ,同時期の対照例との比較で差が出にくかった可能性もある.対象症例数がなお少ないことも問題であり,緑茶カテキンによる食道癌,頭頸部癌の予防効果については,対照のとり方への工夫,対象症例数の増加をはかった後に,改めて検討し結論を出す必要がある.
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