研究概要 |
H17年度においては、浸潤性膵笥癌91例の免疫染色結果から、tyrosine kinase rceptor c-Kitと癌抑制遺伝子TGFβ1の発現がともに陽性であるグループは、ともに陰性であるグループと比較して生存率が有意に高く、またその発現の有無が化学療法の効果に大きく関係することを報告した(Nio Y, Toga T他:Anticancer Res.25(5)3523-3530,2005). H18年度においでは、膵癌99例の5-FU代謝関連酵素のうち、orotate phosphribosyl transferase(OPRT)の免疫染色結果から、OPRT(+)群膵癌の術後生存率はOPRT(-)より有意に高く、OPRT(+)膵癌においてUFT, CPA, GEMを用いた補助化学療法(+)群の生存率は(-)群よりも有意に高かった。しかしながら、OPRT(-)膵癌においては補助化学療法の有無別の生存率に有意差はなかった(Nio Y, Toga T, 他、Oncology Reports 2007印刷中)。 またDNA合成関連酵素thymidylate synthase(TS)を膵癌11例で免疫染色、mRNA定量、ELISAで測定解析を行い、TSの免疫染色における陽性核数とmRNAの測定結果が相関すること、また細胞増殖指標MIB-1とTSの免疫染色での発現が相関することが判明した。現在、腫瘍増殖とTS発現について癌抑制遺伝子p53、Smad4、アポトーシス阻害遺伝子BCL-2の膵癌99例の顕微鏡画像解析データを併せて検討中である。 上記のMIB-1、TSなど核内抗原の免疫染色顕微鏡画像解析には設備備品として購入したデジタルカメラと画像解析ソフトImage-Pro Plusを使用した。その画像解析手順については、マクロ化による簡便化を図った。それに関して、本学で発明審査を受け職務発明とされた。MIB-1の画像解析と免疫染色プロトコールについては、第29回生理学技術研究会(H19年2月、岡崎市)で発表を行なった。またSmad4遺伝子の膵癌における変異とnonsense-mediatedmRNA decayについて名古屋大学総合技術研究会(H19年3月)で発表を行なった。
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