研究課題/領域番号 |
17591437
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
消化器外科学
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
才川 義朗 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (00225682)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2006年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2005年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | Cancer stem cell / 胃癌細胞 / SP細胞 / FACS / cancer stem cell / 胃癌 / side population cells / Cancer Stem Cell / musashi-1 / ABC transporter |
研究概要 |
生体幹細胞は、自己複製により未分化性を保ったまま増殖し、多分化能により多岐に渡る細胞を産み出すとされ、各組織構築における細胞源と考えられる。一方、正常組織ばかりではなく、グリオーマ・乳癌を初めとする悪性細胞にも、その細胞群根幹をなすCancer stem cells (CSCs)が存在することが報告されているが、胃癌幹細胞(Cancer stem like cells ; CSLCs)の同定・解析は報告されていない。 近年、DNA結合色素であるHoechst33342を排出する能力を持つ細胞分画side population (SP細胞)に様々な組織中に存在する幹細胞が高頻度に含まれていることが明らかになり、組織幹細胞を同定・分離するための有用なマーカーとして広く用いられている。現在までに、皮膚、筋、乳腺などの組織SP細胞が幹細胞様の性質を示すことが報告された。 そこで我々は胃癌幹細胞の同定分離を目的として、Hoechst33342を用い4種類のヒト胃癌細胞株(MKN28、MKN45、MKN74、KATO III)を対象にSP細胞解析および分離を行った。各細胞株中のSP細胞の割合は0.04〜1.93%であったが、興味深いことに未分化型腺癌由来MKN45で最もSP細胞の比率が高く、細胞株の未分化性がCSLCsの存在に反映する可能性が示唆された。 特にSP細胞の頻度が高かったMKN45に着目し、詳細な解析を行ったところ、MKN45中のSP細胞分画は非SP細胞と比較してMDR1、BCPR1、TRA-1、c-MYC、WNT10bのmRNA発現レベルが高く、分化上皮マーカーであるCK19の発現は低かった。免疫細胞染色によるタンパクレベルでの幹細胞マーカーの発現解析では、SP細胞でのみ神経幹細胞特異的に発現するMsi1、未分化ES細胞マーカーSSEA-4などが陽性であった。 FACSにより分離したSPおよびnon-SP細胞をそれぞれin vitroで培養したところ、SP細胞はnon-SP細胞に比べ増殖能が高く、SP細胞からは再度SP細胞とnon-SP細胞の両方の細胞群が生じたが、non-SP細胞からはnon-SP細胞しか派生しなかった。また、分離したSP細胞はNeurosphere法によるSphere形成と長期継代培養が可能であり、脂肪分化誘導を行ったところ、オイルレッド0染色性の脂肪滴形成が確認され、胃癌以外への分化能をも保持していた。さらに、抗癌剤を用いた薬剤耐性試験及びNOGマウスを用いた造腫瘍性の評価を行ったところ、SP細胞はnon-SP細胞に比べ、高い薬剤耐性能と造腫瘍性を示した。 以上の結果から、MKN45中に存在するSP細胞は、癌幹細胞様の表現型および機能を持つことが示され、SPという表現型が細胞株中の幹細胞集団を分離するために有用なマーカーとなる可能性が示唆された。
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