研究概要 |
局所進行直腸癌に対して,放射線治療の条件を同一にすると,5-FUのprodrugであるUFTを併用する化学放射線療法の方が腫瘍の縮小率は有意に高かった.治療前の生検標本を用いて,放射線療法において良好な治療効果を予測できる因子は,AI陽性,p53染色陰性,p21染色陽性,組織型が高分化型であったが,化学放射線療法においてはAI陽性のみであり,効果予測因子は放射線療法と化学放射線療法とで異なっていた.また化学放射線療法においては,放射線単独の療法で腫瘍の縮小が軽度であったAI陰性,P21染色陰性および中分化型の症例での縮小が増加し,各々AI陽性,P21染色陽性,高分化腺癌との間に縮小率の差が無くなった. 治療開始前の生検標本で,5-FUの代謝酵素であるTS,DPD,TP.OPRTのmRNA発現から,放射線,化学放射線療法の効果予測が可能か否かを検討したが,TSのmRNAが低値の例では組織学的な効果は有意に高度であったが,その他臨床的に実用可能な指標は見つからなかった.
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