研究課題/領域番号 |
17591447
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
消化器外科学
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
松井 陽一 関西医科大学, 医学部, 助手 (60278637)
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研究分担者 |
海堀 昌樹 関西医科大学, 医学部, 助手 (30333199)
奥村 忠芳 (奥村 忠義) 関西医科大学, 医学部, 助教授 (80113140)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2006年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2005年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | ピタバスタチン / HMG-CoA還元酵素阻害剤 / 一酸化窒素 / 誘導型一酸化窒素合成酵素 / 肝硬変 / ラット初代培養肝細胞 / 転写後調節 / statins / HMG-CoA reductase inhibitor / nitric oxide / inducible nitric oxide synthase / mRNA stabilization / iNOS antisense-transcript / primary cultured hepatocyte / 外科 / シグナル伝達 / 肝障害 |
研究概要 |
[目的]スタチン(3-hydroxyl-3-methyl-glutaryl coenzyme A(HMG-CoA)還元酵素阻害剤)は本来のコレステロール低下作用に加えて、脂質に無関係に幅広い抗炎症効果を示す。肝硬変ではスタチンが一酸化窒素(NO)の産生を促進することにより、硬変肝患者の肝血管系の抵抗を減少させ肝細胞保護を示す。 しかし、内皮型(eNOS)と誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)のいずれがNO産生の促進に貢献しているかは不明である。我々は炎症性サイトカインによりiNOSを誘導した培養肝細胞(in vitro)モデルを用いて、NO産生に対するスタチンの影響を追求した。 [方法]ラット初代培養肝細胞に新規のスタチンであるpitavastatin(興和)を前処理したのち、炎症性サイトカインのインターロイキン-1β(IL-1β)を添加した。NO産生、iNOSの誘導およびその関連シグナルを検討した。 [結果]Pitavastatin(10-100 μM)はIL-1βのNO産生を時間、濃度依存性に促進した。Pitavastatin(50μM))は最大3-4倍のNO産生の増加を示した。iNOSのmRNAおよびproteinレベルも同様に増加したが、転写因子NF-κBやiNOS promoter-luciferase reporterの活性化には影響を与えなかった。しかし、iNOS mRNAの3'-非翻訳領域(3'-UTR)の安定化配列(AU-rich element, AUUU(U)A)を組み込んだiNOS reporter(mRNA安定化活性)実験では、pitavastatinはiNOS mRNAの安定化を増強させた。Actinomycin Dを用いたmRNA合成阻害の実験からもpitavastatinはiNOS mRNA分解を抑制することがわかった。最近、我々はiNOS mRNAの転写後調節に、iNOS mRNAの3'-UTRとその結合タンパク質に加えてiNOS遺伝子のアンチセンス転写物(AST)が関与し、iNOS mRNAの安定化を促進していることを明らかとした。PitavastatinはこのASTレベルをさらに増加させることがわかった。 [考察]Pitavastatinは肝細胞において炎症性サイトカイン刺激によるiNOS誘導を転写段階で増強した。この効果はiNOSプロモーターの活性化、すなわちiNOS mRNAの合成よりも、ASTを介したmRNAの安定化を促進したためと考えられる。
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