研究概要 |
マウスのリンパ節転移モデルを用いて、リンパ管新生因子VEGF-C由来のペプチドがワクチンとして有効であるかどうかについて検討した。具体的には、マウスのリンパ管新生因子VEGF-Cのアミノ酸配列からモチーフ検索(NIH,BIMAS,HLA-binding prediction)によりH-2Kb(マウスMHC class I)に結合すると考えられるペプチド配列10種を決定しペプチドを合成した。H-2Kb-transfected RMA-S(Tap-deficient cell line)細胞を用いて合成ペプチドのH-2Kbへの結合能を確認した。B6C3F1マウスにワクチンとしてVEGF-C由来の合成ペプチド(10種)およびIFAを2回皮下投与したのち、リンパ節転移形成細胞株OV2944-HM-1細胞(RT-PCRにてVEGF-Cの発現を確認)を移植し、3週間後に移植腫瘍の増殖およびリンパ節転移巣形成について解析した。その結果、VEGF-C由来合成ペプチドのうち1種が、マウスでの移植腫瘍の増殖には影響しないでリンパ節転移形成を抑制する傾向にあった。現在、結果の再現性を検討するとともに、ペプチドワクチンの移植腫瘍、リンパ節転移巣に対する組織学的影響(特に、腫瘍周囲のリンパ管新生の程度)に関して解析を進めている。また、ペプチドワクチンのマウス免疫系への影響、特に、ワクチンを投与されたマウスからペプチド、あるいは、移植腫瘍を特異的に認識するT細胞を分離できるかどうかについて検討している。
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