研究課題/領域番号 |
17591456
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
胸部外科学
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
今井 一博 秋田大, 医学部 (70396555)
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研究分担者 |
南谷 佳弘 秋田大学, 医学部, 助教授 (30239321)
小川 純一 秋田大学, 医学部, 教授 (20112774)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2006年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2005年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 肺癌 / センチネルリンパ節 / 腫瘍免疫 / 樹状細胞 / transforming growth factor β / Tリンパ球 |
研究概要 |
センチネルリンパ節(以下SLN)は原発巣からリンパ流とともに癌細胞が最初に到着するリンパ節である。SLNには最初にリンパ流が到達するために、非SLNと比較しては原発巣で産生される生理活性物質に、より高濃度に暴露される。一方、癌細胞はさまざまな免疫抑制物質を放出して腫瘍免疫を抑制していることが知られている。そのためSLNは非SLNと比較して免疫抑制状態がより強く誘導されていると推察される。実際、乳癌や悪性黒色腫のSLNでは、非SLNと比較して樹状細胞(dendritic cell以下DC)の数が減少していることが報告されている。DCは、Tリンパ球に腫瘍抗原などを提示して、直接Tリンパ球を活性化し、抗腫瘍活性を発揮している。この研究ではSLNにおけるDC減少のメカニズムを明らかにするため、非小細胞肺癌患者のSLNと非SLNにおける免疫学的差異を比較検討した。 【方法】非小細胞肺癌患者のSLNを磁性体法により同定した。そして郭清したSLNと非SLNのDC数、CD4+Tリンパ球数、CD8+Tリンパ球数、TGFβ1濃度を測定した。またTUNEL法を用いて組織学的にSLN内DCのアポトーシスを検討した。 【結果】SLNは非SLNと比較して、DC数、CD4+Tリンパ球数が減少していたが、CD8+Tリンパ球数は減少していなかった。SLNのTGFβ1濃度は非SLNと比較して高かった。SLNではDCのapoptosisが多く観察され、SLNでのDCの減少はapoptosisによることが示唆された。さらに正常リンパ節浮遊液の培養実験で、TGFβ1は、DC、CD4+Tリンパ球のapoptosisを誘導した。TGFβ1により誘導されたDC、CD4+Tリンパ球のapoptosisはTGFβ1の抑制剤DAN-Fc chimeraで抑制された。 【結論】以上から、非小細胞肺癌の原発巣で産生されるTGFβ1によりSLNのDCがapoptosisに陥り、腫瘍免疫が抑制されている可能性が示唆された。 来年度は以上の研究をさらに発展させる予定である。
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