研究課題/領域番号 |
17591490
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
胸部外科学
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
山本 昇 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (50297470)
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研究分担者 |
新岡 俊治 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (20192122)
黒澤 博身 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (50075511)
松村 剛毅 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (20297469)
立石 実 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (40349741)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2006年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2005年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 再生医療 / Tissue Engineering / 再生血管 / 生体吸収性ポリマー / 骨髄細胞 / 遠隔成績 / 内皮細胞 / 増殖因子 / 大口径再生血管 / ティッシュエンジニアリング / 生体吸収性素材 / 動物実験n |
研究概要 |
Tissue Engineeringの概念が米国で発表されてから約20年経った。すでに臨床においては、皮膚、骨組織、軟骨組織、尿管組織、心臓弁膜組織、血管組織等の各分野において活発な研究、臨床応用が展開している。心臓血管外科領域、特に先天性心疾患では,先天的な心血管構造の欠損や低形成に対する再建に成功し、臨床応用が可能となった。作製される組織には生きた自己細胞が含まれており、生物学的な成長、修復機転が見込まれるため、より長い耐久性が期待できる。さらに、完全な生体適合性を有するため感染に抵抗性があり、最終的に異物が残存せず内腔も完全に内皮化されるため、移植後、長期間の抗凝固療法を必要としない利点がある。我々は、初めてこの完全な生体吸収性のポリマーを用いて羊の肺動脈弁の作成に成功し、以後肺動脈グラフト等の作成について研究、臨床応用を進めてきた。異種動物の血清を必要とせず、体外にて培養という工程を必要としないためより安全で簡便に行え、また再生組織は自己細胞のみで構成されるため拒絶反応がないという利点がある。また、当日全身麻酔下に骨髄を採取するために、患者の負担は少ない.そして何より、術後長期の抗凝固療法を必要とせず、内服薬なしに生活できることが、患者の、特に小児患者の負担を大きく軽減できる。これは、移植された再生血管の内腔が内皮化され生体適合性を有するためで、血栓や感染に対して抵抗性が高いことに由来する。生体の自己細胞による血管損傷の治癒機転を利用した本法では、内腔面の完全な内皮化、中膜層での平滑筋細胞の存在等、血管組織に極めて近い組織の構築が観察され、これまでの人工材料に代わるものとして世界的に普及すると考えられ一連の実験系を進めてきた。基礎実験では動物モデルの制約から、直径10mm、長さ20mmの再生血管を用いて、血管形成の機序を調査してきたが、臨床応用では解剖学的な条件から直径18mm、長さ40-50mmといった大口径、長径のポリマーグラフトの使用が求められる。より臨床の条件に近い環境で行うこと、さらにはより長期(2-3年)の経過観察を基礎実験で確認し、大口径、長径グラフトの再生血管形成の評価を行った。今後さらに、ブタ、羊などの大動物による長期の移植実験へ向かう予定であるが、その足がかりとなるデータを集めることができたと考えている。
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