研究課題/領域番号 |
17591502
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
脳神経外科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鎌田 恭輔 東京大学, 医学部附属病院, 特任講師 (80372374)
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研究分担者 |
増谷 佳孝 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (20345193)
竹内 文也 北海道大学, 医学部, 助教授 (30281835)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2006年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2005年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 脳磁図 / 機能MRI / 脳機能マッピング / 言語機能 / ニューロナビゲーション |
研究概要 |
【目的】脳神経疾患の病態を把握するとともに、その治療計画を立案するためには、患者毎に言語優位半球の同定と高次脳機能の局在を把握することが重要である。近年は脳機能画像の普及にともない言語優位半球を非侵襲的に同定することが可能になりつつある。しかし、機能画像の活動領域局在に関する検証は十分に行われていないため、未だ臨床への積極的な応用にはいたっていない。本検討では言語課題による機能画像と、慢性硬膜下電極による皮質電気刺激、誘発課題による皮質電位(ECoG)計測による脳機能マッピングを比較することで、言語機能誘発課題の確立と、得られた結果の検討を行った。【方法】頭蓋内病変を有する患者117例を対象として、全例Wadaテストにより言語優位半球をの同定を試みた。機能MRIでは単語提示による動詞想起と文字読み課題をおこない、取得データの統計処理後に有意な信号変化があるピクセルを表示した。脳磁図は機能MRI課題に類似した文字読み課題を行いながら計測・加算平均し、single dipole modelを用いて信号源推定を行った。さらに外科治療が必要と考えられた難治性てんかんの13症例では、てんかん焦点同定のために慢性硬膜下電極を留置した。その留置電極を用いて50Hzの双極電気刺激による言語機能マッピングを行い、機能画像で同定した言語関連機能の局在を検証した。また、機能MRI、脳磁図と類似した課題を行いながら、ECoG計測を行った。【結果】機能MRIでは、主に片側の中、または下前頭回周辺、縁上回-頭頂葉に活動を認めた。脳磁図では優位半球側内紡錘回と、上側頭回後部にダイポールの集積を認めた。Wadaテストでは91例(93.8%)で優位半球を同定することができた。この91例中機能MRIでは83症例(91.2%)、脳磁図では76例(83.5%)で言語優位半球側を同定できた。機能MRIと脳磁図の結果が一致した72例全例でWadaテストと結果が100%一致していた。皮質電気刺激によるマッピングでは、下前頭回(機能MRI)と上側頭回(脳磁図)刺激によりspeech arrest(11/13;84.6%)、錯語(10/13;76,9%)を認めた。また、優位側紡錘回刺激で高率に純粋失読を誘発した(12/13;92.3%)。一方、中前頭回の刺激では言語機能の抑制はほとんど認めなかった(3/13;23%)。ECoGは文字読み課題では紡錘回後部に200-300msecの潜時で顕著な電位変化をみとめ(100%)、優位半球上側頭回〜縁上回、頭頂葉に400msec以降の遅い認知反応(77%)が検出された。しかし、文字読み課題機能MRIで活動していた前頭葉では認知EcoGをほとんど捉えることができなかった。【総括】ECoG計測は皮質電気刺激マッピングに比しててんかん発作誘発のリスクがなく、短時間に広範な脳皮質の活動状況を捉えることできた。しかし、機能画像、皮質電気刺激、ECoGのそれぞれの結果は必ずしも一致していないため、今後さらに課題、解析方法の改良することが重要である。
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