研究課題
基盤研究(C)
椎間板変性抑制が腰痛対策として有効な手段になりうると考え、実験を行った。椎間板が有するshock absorberとしての働きには高い含水性を持つアグリカンを中心とした、プロテオグリカンが大きな役割を果たしている。アグリカンは特定の部位でMatrix MetalloproteinaseやADAMTS(a disintegrin and metalloproteinase with thrombospondin-like repeat)ファミリーに属するいくつかのメタロプロテアーゼにより切断される。以上より、変性椎間板に発現しているadamts5遺伝子をsiRNA(small interfering RNA)を用いてknock downすることにより、椎間板変性を抑制させることが可能か否かを検討した。研究の方法として、in vitroと in vivo研究を行った。In vitro研究は家兎髄核細胞を用いて、adamts5遺伝子をknock downするために、siRNAを作成し、単層培養の髄核細胞にトランスフェクションし、real-time PCR法を用いてadamts5遺伝子のknock down率を検討した。その結果、アルジネートビーズ培養下で、adamts5 siRNAが取り込まれることが分かった。Adamts5のknock downが可能であるかを検討したところ、コントロールsiRNAに比べてadamts5 siRNAは約70%のknock down率を示した。In vivo研究では、家兎椎間板変性モデル(puncture model)を椎間板を18G針にて穿刺し作成し、無穿刺対照群と比較検討した。Adamts5 siRNA投与群とcontrol siRNA群を作成し、2週間毎に単純X線像で椎間板高を測定した。注入後8週間経過観察し、屠殺後MRIおよび組織学的検討を行った。MRIはT2像の輝度を4段階に分類しスコア化することにより評価した。組織は、椎間板組織の正中矢状断面をサフラニン-O、およびヘマトキシリンにて染色し、組織評価スコアによって評価した。結果は、椎間板高には変化を認めなかったものの、adamts5 siRNAを投与した群では髄核部の輝度が、コントロールsiRNAよりも有意に高く、高い水分含量を反映していた。組織学的なスコアでもadamts5 siRNA投与群で有意な変性の抑制が認められた。以上より、椎間板髄核変性において、adamts5は主要な役割を果たしていると考えられ、adamts5 siRNAを用いることにより椎間板変性を抑制し、腰痛を予防できる可能性があることがわかった。
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