研究課題/領域番号 |
17591618
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
麻酔・蘇生学
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
内田 篤治郎 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 講師 (40262183)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2006年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2005年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
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キーワード | 急性肺傷害 / バイオマーカー / 肺水腫 / 急性呼吸窮迫症候群 / 肺胞上皮 / RAGE / 重症度マーカー |
研究概要 |
Receptor for advanced glycation end products(以下RAGE)は、肺においては、I型肺胞上皮細胞に特異的に発現している免疫グロブリンスーパーファミリーに属するタンパクである。I型肺胞上皮細胞は、肺胞表面の95%を覆い、外敵の侵入を防ぐバリア機能という点で重要な役割を果たしている。急性肺傷害では、I型肺胞上皮細胞の破壊や機能低下が認められると考えられており、I型肺胞上皮に特異的に発現している蛋白をバイオマーカーとして用いることが出来れば、急性肺傷害の重症度判定などにつながると考えられる。本研究では、ラットを用いた急性肺傷害モデルと急性肺傷害患者の血中、気管支肺胞洗浄液(以下BAL)および肺水腫液中のRAGEレベルを検討し、RAGEをI型肺胞上皮の傷害マーカーとして用いることができるかどうかを検討した。 ラットの誤嚥性肺炎モデルやエンドトキシン肺傷害モデルでは、RAGEはBAL中および血中に検出され、その濃度は、侵襲の大きさを反映して増加した。また、免疫組織学的な検討では、エンドトキシン投与後でも、RAGEを発現しているのは、I型肺胞上皮細胞に限られており、肺傷害でBAL中や血中で検出されるRAGEはI型肺胞上皮から遊離されたものと考えられた。さらに、静水圧性肺水腫患者と急性肺傷害患者における血中および肺水腫液中のRAGE濃度の比較では、いずれの検体においても、急性肺傷害患者におけるRAGE濃度が静水圧性肺水腫患者における濃度より有意に高かった。 以上の結果より、RAGEは、急性肺傷害における肺胞I型上皮細胞の傷害度を反映するバイオマーカーとして使用できることが示された。他の肺疾患における肺胞I型細胞の傷害度を反映する指標としても用いることができるかといった点などが、今後の可能性として期待される。
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