研究概要 |
従来型人工呼吸中には高二酸化炭素血症が出現する。抗サイトカイン療法を試みる前に高頻度換気中の換気状態が実験結果に影響する可能性を検討するため換気中のCO2分圧による炎症性サイトカインへの影響を調べた。pHを1.25に調整した塩酸を5mL/kg気管内に注入し肺傷害を作成した。注入30分後に血液ガスを計測した後、無作為に正常CO_2群(n=10)と高CO_2群(n=10)の2群に分け高頻度換気による人工呼吸を4時間行った。正常CO_2群はPaCO_2が40-50mmHgに、高CO_2群で180mmHg程度になるように圧振幅を調節した。人工呼吸終了後動物を処分し右肺で気管支肺胞洗浄を行った。気管支肺胞洗浄液のTNF-α、IL-6、CINC-1をELISAにて計測したが正常CO_2群と高CO_2群で差を認めなかった。 さらにreal-time RT-PCR法によるmRNA定量の評価系を確立を行った。ここでは以前に確立していた腸炎モデルの消化管粘膜から分離した病原性T細胞のmRNAを用いて各種ケモカインレセプター(CCR4,CCR5,CCR6,CCR7,CCR9,XCR3,CXCR4)と代表的なTh1型サイトカインIFN-γ,Th2型サイトカインIL-4の評価系を確立した。この定量によると発症したマウスではケモカインレセプター全てとIFN-γの増加を認めた。さらに興味深いことに、病変の最も強い大腸ではCCR7,CXCR4の発現が強かった。 上述した方法を駆使して保護的換気法と高頻度換気法の肺障害モデルに与える影響を検討中である。
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