研究課題
基盤研究(C)
未熟児網膜症は小児の失明原因の第一位を占める重要な疾患である。現在、確立された治療法として網膜をレーザー光で凝固する方法があるが、これを適切に行っても網膜剥離を発症し、失明に至る重症例がこの治療法が必要な新生児のうち数%程度存在する。また、網膜に瘢痕ができるために晩発性網膜剥離、硝子体出血などで後に視力障害を来すこともあり、理想的な治療法とは言い難い。今回の研究では未熟児網膜症の新たな治療法の開発を目的に、未熟児網膜症モデルマウスを用いて研究を行った。研究期間中の検討により、未熟児網膜症モデルマウスで新生血管発症前(生後12日)と発症のピーク時期(生後17日)の網膜組織から抽出されたcDNAをマイクロアレイにて比較し、生後17日に発現が2倍以上上昇あるいは低下する遺伝子群を抽出した。そのうち、新生血管や炎症に関連する90個の遺伝子についてTaqman Low Density Arrayを用いて遺伝子の発現を定量的に検討し、また網膜伸展標本にて検討した病像との比較を行った。その結果、生後12〜14日の網膜上新生血管が発生する前の段階で発現が上昇する遺伝子群として炎症関連遺伝子、虚血に関連する遺伝子の上昇がみられた。この時期には網膜には新生血管はみられず、網膜毛細血管が後極部で観察されない虚血性の変化が強くみられた。これに2,3日遅れて新生血管に関連するVEGF、 IGF-1関連遺伝子群の上昇がみられ、同時期に網膜伸展標本でも新生血管の発生が最大となった。これらの知見により未熟児網膜症モデルマウスでの遺伝子の変動と病態との関連が強く関連していることが判明し、治療薬の投与時期等の参考となる貴重な情報が得られた。
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