研究概要 |
我々はラット,マウスに実験的アレルギー性結膜疾患(EC)を誘導し,アレルギー性結膜疾患の重症化にTh2細胞が重要な役割を果たすことを報告してきた.T細胞がエフェクター機能を発揮するには共刺激分子からのシグナルが重要である.そこで,EC発症における共刺激分子の役割を解析した.誘導相における共刺激分子の役割を解析するため,能動免疫されたマウスに抗原チャレンジ2日前まで共刺激分子に対する抗体を投与した.効果相における共刺激分子の役割を解析するため,共刺激分子に対する抗体を能動免疫されたマウスに抗原チャレンジ直前に投与,あるいは抗原感作リンパ球を移入されたマウスに投与した.4-1BBにアゴニストとして働く抗体を誘導相に投与することにより,結膜好酸球浸潤が抑制された.一方,OX40にアゴニストとして働く抗体を誘導相に投与すると結膜好酸球浸潤が増強した.B7RP-1にアンタゴニストとして働く抗体を誘導相,効果相に投与しても結膜好酸球浸潤に影響を認めなかったが,B7-DCにアンタゴニストとして働く抗体を効果相に投与すると結膜好酸球浸潤が増強した.以上の結果から個々の共刺激分子のアレルギー性結膜疾患重症化への関与が明らかとなった.好酸球の結膜局所浸潤にはVLA-4,VCAM-1などの接着分子が重要な役割を果たす.そこで,結膜におけるVLA-4とVCAM-1の発現を免疫組織化学的に検討したところ,結膜炎誘導により,結膜におけるVLA-4陽性細胞が増加したが,VCAM-1発現の増強は認められなかった.それぞれの分子に対する抗体を単独で投与しても結膜好酸球浸潤には有意な影響はみられなかったが,両者の抗体を同時に投与することにより,結膜好酸球浸潤は有意に減弱した.すなわち,EC発症時にVLA-4陽性細胞が結膜に浸潤し,VLA-4とVCAM-1の相互作用が結膜好酸球浸潤に重要な役割を果たすことが明らかとなった.
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