研究課題/領域番号 |
17591849
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
眼科学
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
吉田 宗徳 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 助教授 (60273447)
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研究分担者 |
小椋 祐一郎 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (70191963)
櫻井 英二 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (30305528)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2006年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2005年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 白血球 / 網膜微小循環 / TNF-α / 糖尿病網膜症 / ぶどう膜炎 |
研究概要 |
ラット眼内にTNF-αを注入し、その後経時的に生体顕微鏡で観察すると、注入後12-24時間をピークとし、濃度依存性に炎症性の変化が見られた。acridine orange digital fluorography (AODF)を用いた観察では、炎症惹起眼において網膜動静脈の拡張がみられ、注入後24時間での白血球のローリング、網膜内への集積はともに著明に増加していた。 次にヒト網膜血管内皮細胞をシート状に培養し、その上でヒト多核白血球を培養したのちにリンスし、残存した白血球数をmyeloperoxydase(MPO)アッセイにより定量した。この際、培養上清中にTNF-αを添加してその影響を調べた。TNF-αを添加した群ではコントロールに対し、接着する白血球数は増加した。また、この接着白血球数の増加は培養上清に同時に抗ICAM-1抗体を添加することによって減少した。 同様の実験をTNF-αを添加する代わりに高グルコース刺激、高インスリン刺激で行うと、いずれも網膜血管内皮細胞への白血球の接着は増加した。しかし、高グルコース、高インスリン刺激を行った網膜血管内皮細胞の培養上清中にはTNF-αの増加は見られなかった。 糖尿病網膜症を発症する糖尿病ラットにおいて、網膜および硝子体中に腫瘍壊死因子αの発現が増加するかどうかを調べた。ストレプトゾトシン投与ラットの網膜中の腫瘍壊死因子mRNAの有意な増加は見られず、硝子体液中、網膜ホモジェネート中に腫瘍壊死因子の活性の増加は見られなかった。 ストレプトゾトシン投与ラット硝子体中に抗腫瘍壊死因子α抗体を投与し、白血球の動態を観察したが、コントロールと比べて白血球集積の減少は見られなかった。 いっぽう、エンドトキシン誘発ぶどう膜炎では、エンドトキシン投与直後に硝子体中に抗腫瘍壊死因子α抗体を投与すると、網膜内の白血球集積が有意に減少し、エンドトキシン投与24時間後の硝子体液中の白血球数、タンパク質濃度も減少した。ぶどう膜炎のモデルでは抗腫瘍壊死因子α抗体の投与が炎症を抑制する作用が確認された。糖尿病ラットにおいては抗腫瘍壊死因子α抗体は白血球動態の異常を改善するのに十分有用とはいえなかったが、これは投与時期、投与方法などに問題がある可能性があり、検討を要する。
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