研究課題/領域番号 |
17591879
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
形成外科学
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
熊谷 憲夫 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (30103477)
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研究分担者 |
井上 肇 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教授 (60193603)
冨岡 みゆき 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 研究補助員 (90398967)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2006年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2005年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 培養表皮 / 表皮幹細胞 / 細胞治療 / 皮膚再生 |
研究概要 |
平成18年度において、これ迄(平成15年度より)の成果を基に、難治性皮膚潰瘍患者への表皮幹細胞移植による潰瘍治療の臨床応用を行った。ポケット状の潰瘍患者に対しては、以下の様な手技で創部に適用した。すなわち、Rheinwald & Greenの方法によって培養された表皮幹細胞が80%コンフルエントの段階、すなわちシート化しない状態の培養表皮細胞にEDTA処理を行って3T3支持体を完全に除去し、表皮幹細胞を回収した。得られた幹細胞を適当な細胞数(特許に関わるため非開示)に調節した後、創部への移植直前に特殊ジェル(特許申請予定のため非開示)に混和した。ポケット状にない潰瘍部に対しては、表皮幹細胞をコンフルエントに迄培養した表皮幹細胞シートを用いた。皮膚潰瘍創部については、事前に感染コントロールを充分に行い、清潔化された創部にのみ本法を適用した。適用患者は手術不適応症例、または従来の保存的治療に抵抗し手術を拒否した症例を対象とした。 創部に適用された表皮幹細胞は、常法に従ってドレッシングされ特別の事情が無い限り、1週間に1度の割合で4回を限度に細胞治療を試みた。 従来型の潰瘍治療に対して抵抗性であった全例で、表皮幹細胞治療によって明らかな創部縮小、完全な上皮化が得られた。最短は2回の細胞治療、治療期間2週間で上皮化を認めたが、平均40日程度で1完全な上皮化を認める例が多かった。滲出液が従来法に比べて多い傾向にあり、ドレッシングに注意が必要であった。 現在、難治性潰瘍治療に閉鎖湿潤療法やFGF-2といった増殖因子療法の有効性が知られている。しかしながら、創傷治癒過程は複雑なメカニズムが存在し、必ずしも単一なサイトカインで制御されている訳ではない。従って、細胞治療の有効作用機序として、表皮幹細胞の放出するネットワークを介したバランスの良いサイトカイン、増殖因子の放出が、上記した潰瘍治療抵抗性症例の場合に有効であった為と考えられた。
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