研究概要 |
広島大学病院集中治療病棟部においてPIMSを利用して,1346名の重症患者を対象としてデータを収集・解析した。今回得られた心停止発生前の患者データから,心停止発生前にはLF/HF比の増加を認めており,LF/HF比から心停止の発生予測が可能であることが示唆された。しかしながら,有害イベント以外の他の病態においてもLF/HF比が上昇する可能性があり,心停止前のLF/HF比のspecificityについては他の病態におけるLF/HF比の変化との比較検討が必要である。また,心停止発生前LF/HF比の変化パターンについても今後の検討が必要である。本研究の最大の障壁は集中治療病棟における心停止の発生頻度の低さであった。年間約1400件の集中治療患者における突然の心停止発生はおよそ1例程度であり,2年間の調査期間および1つの医療機関のみでは研究結果を得る上での十分なデータは得られなかった。心停止発生前を識別可能なLF/HF比の変化パターンが確認された場合には,その認識プログラムを作成し,PIMSべ組み込むことにより,これまでになかった有害イベント発生予測生体情報監視システムを構築することができる。そのためには多施設におけるより多くの集中治療患者を対象とした調査研究が必要である。一方,現在のPIMS生体監視システムではデータサンプリング周波数,WEB上画処理の問題,そして患者に心電図モニター電極を装着する場合のdeviationなどいくつかの重要な課題が指摘された。データサンプリングは500Hzとし,それに対応すべくスペックのネットワークシステムが必要である。
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