研究概要 |
1)間葉系細胞は,神経堤細胞或は中胚葉に由来すると考えられている。特に,歯を含む頭部の硬組織は,神経堤細胞に由来すると考えられてきた。我々は,神経堤細胞を特異的に標識できるマウスを用いてマウス歯胚に多数の神経堤由来細胞が存在すること,それら神経堤由来細胞は象牙芽細胞のみならず骨芽細胞や軟骨細胞になれることを明らかにした(Yamazaki,2007)さらに,歯胚には様々な分化能をもつ神経堤細胞以外の細胞も存在する可能性を見いだした。 2)中胚葉由来の細胞を標識することのできるマウスを用いて,歯の間葉にも中胚葉由来の細胞が寄与していることを見いだした(投稿準備中)。従って,歯胚には神経堤細胞のみならず中胚葉に由来する多分化能をもつ幹細胞の存在する可能性が示唆された。 3)胸腺の器官形成に関与する神経堤由来細胞は、胸腺の問葉細胞に分化するのみならず、神経堤由来細胞である色素細胞や神経やグリアに分化できることを明らかにした。また胸腺の間葉には神経堤細胞以外の問葉細胞も寄与する可能性を示した。 (Yamazaki,2005) 4)神経堤に由来する細胞に特異的に遺伝子発現を誘導できるマウスを用いて、神経堤に由来する細胞に特異的にras遺伝子を発現させることで神経線維症が誘導できることを明らかにした(Saito,2007)。 5)我々はこれまでマウス全能性幹細胞(ES細胞)より神経堤細胞派生物の一つである色素細胞の分化誘導系を確立した。色素細胞の分化増殖にはc-Kitやendothelin3が重要であるが、我々はc-Kit或はendothelin3の欠損したES細胞を用いて、色素細胞の分化増殖における両者の役割を明らかにした(Aoki,2005)。 6)胚性幹細胞を目的の細胞系譜のみに分化誘導することは困難とされてきた。そこで、血液細胞への分化能を失った胚性幹細胞を用いて破骨細胞系譜のみを特異的に分化誘導できる系を確立した(Tsuneto,2005)。「
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