研究課題
基盤研究(C)
骨は力学的に負荷のかかる場所において形成が促進し、負荷のかからない場所では廃用性に吸収されることにより、外形および内部構造を変える(Wolffの法則)。本研究は、骨への力学的負荷によって生じるシェアストレスが破骨細胞の分化および骨吸収活性にどのように影響を及ぼすかを明らかにし、骨形成系細胞と骨吸収系細胞を含んだシェアストレスの骨吸収に対する作用を解明することを目的とし、以下の結果が得られた。その結果、(1)石灰化能を有する2代培養系のマウス骨芽細胞にシェアストレスを負荷することによって、負荷開始から短時間で有意にCOX-2とRANKLの遺伝子発現が上昇した。また、OPGの遺伝子発現も僅かではあるが上昇した。(2)シェアストレス負荷群の骨芽細胞培養コンディションドメディウム(CM)は、非負荷群のCMよりも破骨細胞の分化および骨吸収活性を僅かではあるが促進した。(3)RANKL発現に必要なシェアストレスは短時間で十分なRANKL発現が誘導され、その発現はシェアストレスから開放されても持続的であった。(4)シェアストレス誘導RANKL発現はMAPK系のErkの活性化に依存的であった。しかし、同じくシェアストレスによって誘導されるPGを介した誘導ではなくPG非依存的であった。(5)破骨細胞前駆細胞からの破骨細胞分化へのシェアストレスによる直接的な作用は低濃度RANKL存在下においても促進的に働いた。以上の結果から、シェアストレスは骨芽細胞に作用し、破骨細胞分化のトリガー分子であるRANKLを発現するとともに、直接破骨細胞前駆細胞に作用しその分化を誘導するといった間接的および直接的な作用によって骨吸収を促進する働きのあることが明らかになった。
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