研究概要 |
口腔扁平上皮癌5例の転移リンパ節(46ヶ)の病理組織標本において,転移による変性とFDG-PET像を比較検討した.小さなリンパ節でもPETにて集積を示したものは,病理組織学的にも壊死,血管増生,角化変性の領域が大きかった. 口腔扁平上皮癌53例の摘出リンパ節において,転移の有無,長径および内部性状を記録した.転移の有無は病理組織学的結果によった.中心壊死は転移リンパ節の38%,非転移リンパ節の0.3%,角化は転移リンパ節の24%,非転移リンパ節の1%,Hilum構造の消失は転移リンパ節の77%,非転移リンパ節の7%であった.いずれの所見も転移・非転移リンパ節の両群問に有意差を認めた(Chi-square test, P<0.01).転移リンパ節についてサイズによって,内部性状の変化がみられる頻度が異なるかどうかを検討した.中心壊死は長径≧15mm群の60%,小さな転移リンパ節(長径<15mm)群の27%であり,小さなリンパ節では有意にその頻度は減少した(Chi-squaretest, P<0.001).角化の頻度は,長径≧15m田群の35%,小さな転移リンパ節群の18%であり,両群間において有意差はみられなかった.Hilum構造の消失の頻度は,長径≧15mm群の88%,小さな転移リンパ節群の71%であり両群間に有意差がみられた(Chi-square test, P=0.049). 超音波ドプラ像においてリンパ節内部の血流パターンの頻度を転移リンパ節・非転移リンパ節間で比較した.Hilarは転移リンパ節の18%,非転移リンパ節の52%,Peripheralは転移リンパ節の17%,非転移リンパ節の1%,Internalは転移リンパ節の31%,非転移リンパ節の1%にみられた.Hilar, Peripheral, Internalの血流パターンを示す頻度は,転移・非転移リンパ節の両群間において有意差を認めた(Chi-square test,いずれもp<0.001). 以上の結果を踏まえ,中心壊死単独,短径8mm(頚部レベルIB, IIA)・6mm(他レベル)かつ角化・Hilum構造の消失・Internal血流パターンを転移リンパ節とする診断基準を作成した.この診断基準によると,sensitivity 77%,Specificity 95%,Accuracy 90%であり十分高い正診率を有した.
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