研究概要 |
1.以前の研究で,破折片を除去するために金属チューブにレーザー溶接を行う方法では試料断端部の直径が小さいものでは溶接が難しいことが判明した,このことから,金属チューブ内にステンレススチール製の鋼球をいれてレーザー溶接を行う方法を考案した.手用Kファイル(#8)15本を刃部先端から切断し,断端部の直径が0.25mmのファイル先端部を試料として,レーザー溶接を行う実験を行った.照射条件は900mJ,10PPsで1〜3秒Nd:YAGレーザーを照射したところ,2秒以上の照射で,全試料が溶接され,引張り試験では,20N以上の破壊荷重が記録された.この方法で,細い破折器具を金属チューブに溶接することが可能となった,今後は,この条件での安全性を検討することが必要と思われる. 2.抜去歯の根管内から破折片をレーザー溶接により除去することを検討した.手用Kファイル(#8〜#25)30本を刃部先端から切断し,断端部の直径の違い(0.25〜0.45mm)により5群に分けたものを試料とした.髄室開拡後,根管形成したヒト抜去上顎前歯の根管内の根尖付近に試料を挿入した.根管洗浄針の金属チューブ部分を根管内に挿入し,試料の切断端の部分が金属チューブ内に入るように被せた後,チューブの反対側から挿入したレーザー導光用ファイバーを試料に接触させた状態でNd:YAGレーザーを400mJ,10pps,1秒間照射した.レーザー照射後,金属チューブを抜去歯から引き抜いた.全試料は,この操作により抜去歯から除去された,引張り試験を行ったところ,0.30mm以上の群では25.1N以上の破壊荷重であった.このことから,今回のレーザー溶接を用いた方法で根管内から破折片が取り出せることが確認された.
|