研究概要 |
本研究の最終目的は, 「咀嚼して嚥下する」という本来の摂食機能がもつ意義を, 高次脳の観察を行うことにより明らかにしていくことである. 被験者として脳障害の既往がない健常者2名(20 歳代男性, 30 歳代女性, いずれも右利き)を対象に, シーメンス社製MAGNETOM Symphony(1.5T)にて, 口唇突出運動, タッピング運動, 開閉口運動, 舌突出運動, 舌頬押し運動, 口腔内ボールころがし運動, パラフィン自由咀嚼運動およびガム自由咀嚼運動時のfMRI を撮像した. 撮像方法はマルチスライスEPI法で行い, fMRI の画像解析にはStatistical parametric mapping software (London, UK)を用いた. 解析の結果, 各口腔運動タスク時の高次脳の活動部位は一次運動野の領域で共通していたが, 詳細な活動部位は異なっていた. また, 3種の舌運動タスクでは脳の活動部位の左右差はみられなかったが, 自由咀嚼タスクでは左右差がある可能性が示唆された.
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