研究概要 |
研究費の補助を受けた間に行った研究で,1.非免疫ウサギヘ高密度のCandida albicans ATCC18804(以下カンジダと略す)を口腔内接種し,口腔内でのカンジダの経日的な菌数への影響を調べた.扁桃投与により唾液抗体を誘導したウサギ口腔へ,高密度(2×10^8個)のカンジダを2から3回接種した場合,接種数日間に口腔内から回収されるカンジダ数は,対照の非免疫ウサギと比較してほとんど違いは認められなかった.次に,2.非免疫ウサギに低密度のカンジダを口腔内接種し,経日的な菌数,粘膜組織への侵入,免疫応答などを調べた.口腔内でのカンジダの定着を測定できる条件を検索し,投与法および定着検出方法を確立させた.この方法を使い低密度(2×10^6個)のカンジダ懸濁液を非免疫ウサギへの口腔内に滴下し,A.口腔内での経日的な菌数,B.粘膜組織への侵入,C.抗体産生などを調べた.その結果,カンジダ生菌の口腔内投与によりカンジダが口腔内で数日間増殖し,その間に口腔粘膜組織に定着侵入することが示唆された.さらに組織内に侵入した結果,全身免疫系を刺激して抗体が誘導される.抗体や他の機序によりカンジダは組織内から排除されることが示唆された.以上から,培養したカンジダ生菌は投与初期には,口腔粘膜組織に侵入し,投与を繰り返すと不顕性感染を生じる能力を持つことが示された.これはワクチンとなりうる可能性を示唆している。今後さらなる研究を続け、カンジダ性義歯性口内炎を予防するワクチン開発に取り組む予定である。
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