研究概要 |
本研究は,酸化ジルコニウム(ジルコニア)セラミック修復物の長期耐久性を擬似口腔内環境化において評価し,素材,臨床術式,技工術式等に検討を加え,臨床応用に示唆を与えることを目的とした.セラミック修復物の長期耐久性の評価に対していくつか項目があるが,本研究では支台歯に対する修復物の適合および破壊強度を検討項目とした. 前歯部歯冠修復を想定した金属製歯型を使用し,歯頸部辺縁形態の違いがジルコニウムセラミック修復物の適合および破壊強度に及ぼす影響について検討を行った.その結果,歯頸部辺縁形態の相違は,ジルコニアセラミック修復物の内面適合に影響を与えるが,辺縁適合には影響を与えなかった.また,ジルコニアセラミック修復物の破壊強度には影響を与えないことは示唆された. 臼歯部歯冠修復を想定した金属歯型を使用し,支台歯の軸面テーパー度およびセメントスペース量がジルコニアセラミック修復物に及ぼす影響について評価を行なった.その結果,辺縁間隙量(27〜43pm)および内面間隙量(54〜70pm)双方とも臨床的に許容される範囲内の値を示した.辺縁間隙量はセメントスペース量が60pmの場合,テーパー角が大きくなるに従い小さな値を示し,内面間隙量はテーパー度20。群が他の群と比較し小さな値を示した. 今後は,本研究結果から判明した懸念,ジルコニアセラミックスとその前装ポーセレンの接合関係について,あるいはジルコニアセラミックスの応用可能なブリッジやインプラント修復に関して更なる研究が必要であると考察する.
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